私の友達は五条くんのことが好きらしい。【五条悟】

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「俺の好きな女のタイプなんか聞いてどーすんだよ」
「(硝子の)参考になるかなーって」
「(Aが)参考にすんの！？」
「うん」


　そこで知る、タイプの女性の使い道。わずかに勘違いが生じてしまったが、五条はそのようなことに気づくはずもなかった。Aの前では素直になれない五条は、先程彼女とは正反対のポイントばかり挙げてしまったため焦ってしまう。これでもしAが全て参考にしてしまったら、彼女の良さが潰されてしまうからである。
　急いで訂正しようと、僅かに前のめりになりながら五条は一段と声を張り上げた。



「さっきのは全部嘘だよ！ほんとは誰に対しても平等で人当たりのいい、よく笑うやつがタイプ！だからさっきのは参考にすんな！！」
「え、そうなの？じゃあそうやって伝えとくね」
「は？」


　Aのその発言で五条は理解する。自身が挙げた女のタイプを参考にするのは彼女ではなく、別の人間だということを。肉をフォークで突き刺して、口元に運ぼうとしていたその腕がぴたりと止まって動かない。感情までもが止まってしまったようで、五条の口から出たその言葉は宙をふよふよと漂っていた。

　面白くない。面白くなさすぎる。少しでも浮かれてしまった気持ちが馬鹿みたいだ。数えきれないほどの五条の感情が一気に混ざり合い、それが合わさって生まれたのはたった一言。



「ほんっっっとお前のこと嫌いだわ最低だな」
「なぜ！？」


　五条くんはよく分からない。そう思うも、元々変わった人だと認識していたAにとっては特に好感度が下がることもなかった。
　本当に自身のことが嫌いならこのように2人でご飯に行くこともないだろうと考えているため、その言葉を信じる様子もない。冗談が言い合えるところまで仲が深まったことを嬉しく思うAであった。

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