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「そんなに気になるの? 相川くんのこと」
「そういうわけでもないんだけど__」
「イケメンで病弱な男の子、女の子は好きだもんねー。あー、やだやだ。嫌になっちゃう」
からかうようにいう天宮。
割合珍しいテンションだった。
「病弱、ねえ」
病弱というなら__病弱だろう。
いや、しかし、あれは病気なのだろうか?
病気でいいのだろうか?
身体が弱くて、それで必然的に身体が軽くなるというのは、分かりやすい説明だが__既にあれは、そういったレベルの話ではなかった。
階段の、ほとんど一番上から、踊り場まで細身とはいえ、一人の人間が落下したのだ。通常ならば、受け止めた方でさえ、結構な怪我をしかねないようなシチュエーションである。
なのに__衝撃はほとんどなかった。
「でも、相川くんのことなら、Aちゃんの方がよく知ってるんじゃないかな? 僕なんかに訊くよりさ。なんたって、三年連続で同じクラスだ、っていうだから」
「そう言われりゃ、確かにそうなんだけど__男の子の事情は、男の子の方が知ってると思って」
「事情って……」
天宮は苦笑いした。
「男の子に事情があるとしたら、それこそおいそれと教えてあげるわけにゃいかないでしょうが、女の子に」
「そりゃそうだ」
当たり前だった。
「だからまあ、クラスの副委員長が、副委員長として、クラスの委員長に質問しているんだと思ってよ。相川って、どんな奴なの?」
「そうくるか」
天宮は、話をしながらも進めていた走り書きを止め(お化け屋敷、喫茶店を筆頭に、クラスの出し物の候補を、書いては消し書いては消ししていた)、ふうむ、と手を束ねた。
「相川くんは、まあ、何の問題もない、優等生だよ。頭いいし、掃除とか、サボらないし」
「だろうね。それくらい、私にもわかる。私じゃわからないことが、聞きたいんだよ」
「でも、同じクラスになって、まだ、丁度一ヶ月くらいだしね。わかんないってのが、やっぱりかな。ゴールデンウィーク、挟んじゃってるし」
「ゴールデンウィークね」
「ん?ゴールデンウィークがどうかした?」
「どうもしない。続けて」
「ああ……そうだね。相川くん、言葉数も多い方じゃないし__友達も、全然、いないみたい。色々、声かけてはみてるけど、彼の方から、壁作っちゃってる感じで__」
「………………」
さすが、面倒見のいいことだ。
無論、それを見込んでの質問だったのだが。
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がむしろ(プロフ) - コメント失礼します!とても面白く、原作の化物語の通りに書かれていて、読んでいてとても楽しかったです! (2022年4月13日 23時) (レス) @page1 id: b2402acd1c (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - ヒマリンさん» ヒマリンさんコメントありがとうございます!わざわざこの作品を見つけてくださり、そう言ってもらえて恐悦至極です!これからも原作通りに進められるよう頑張ります!! (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリン - 本当に化物語の通りでした。 すごいです。 (2021年1月7日 10時) (レス) id: 88fe224ab8 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - うたねこさん» うたねこさん初めまして、感想ありがとうございます!どちらも好きな方がいらっしゃるとは…!? 緩やかですが楽しみにしていただけているのなら光栄です(*'∀`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねこ(プロフ) - はじめまして!物語シリーズもまふさんも好きなのでめっちゃ嬉しいです。お話もこれからすごく楽しみです! (2020年3月22日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月20日 4時