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「…なあ」
「ん？」
神宮寺の呼びかけに、私は首を傾げる。
神宮寺はやけに真面目な顔をしてこっちを見ていて。
「…や、何でもない」
そう言って笑って誤魔化す神宮寺に、私も、なんだそれ、と笑う。
次の授業は英語で、クラスメイトのカタカナ読み英語をBGMに、私は頬杖をついてぼーっと外を眺める。
あ、紫耀のクラスだ。
いつも見かける、紫耀のクラスの男子が目に入り、私の意識は完全に教室から窓の外へと出て行く。
男子はサッカーをやっていて、笑顔で人一倍輝く紫耀を気付いたら目で追っていて。
あ、シュートした。
あ、ゴール。
紫耀がゴールした瞬間、味方チームと思われるクラスメイト達が、まるで本当にサッカー選手がゴールした時のように、わっと紫耀の周りに集まり、パフォーマンスを行う。
そこに囲まれる紫耀はくしゃっと笑っていて。
私も思わず、口が綻ぶ。
次の瞬間、輪の中心に居たいつも笑ってるような紫耀が笑顔もなく、こっちに視線を移した。
私は思わずびっくりしてフリーズする。
1秒、2秒、3秒
それまで聞こえていた英語のBGMは聞こえなくなり、お互いただ何をするわけでも無く、ただ時間が止まったかのように目を合わせる。
そして、紫耀は私から視線を外し、笑顔に戻って再び自分のポジションへと帰っていった。
その様子を見て、私も一度校庭から意識を教室の中へ戻す。
たまたま、目があっただけかも、
本当は一瞬だったのに、ただ長く感じただけかも、
なんて、自分に言い聞かせて私は冷静を取り戻そうとする。
でも気付けば再び、校庭に目をやり紫耀を追いかけていた。
すると肩をトントン、と叩かれて、私は思わず振り返る。
すると、ほっぺに指が刺さる。
「見過ぎ」
口パクで私にそう言った神宮寺に、私は、はっとする。
そして、慌てて教科書と睨めっこ。どんどん先に進んでいた英文がどこかを探す。
すると、神宮寺がすっと近付いてきて、隣の席から私の教科書を覗いてきた。
その瞬間、神宮寺の甘ったるい香りが私の鼻をくすぐった。
「ココ」
教科書をシャーペンで指しながら、上目遣いでニッと笑う神宮寺に、私は不覚にもドキッとしてしまう。
「ありがとう」
私はそう言って教科書に視線を落とす。
その時胸はドキドキと大きな音を立てていた。
これは神宮寺に対してなのか、紫耀に対してなのか。
自分でも分からなかった。
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あきんちょ - めちゃめちゃ良かったです！ぜひぜひ2nd season かいてほしいです！ (2019年5月7日 23時) (
レス) id: 5f9a7e6066 (このIDを非表示/違反報告)
タロウ - ののさん» コメントありがとうございます！わたしの処女作品から！嬉しいです！拙い文章ではありますが、楽しんでもらえれば幸いです！！作者登録はあまりするつもりはありません…フリーダムにやっていきたいなあ、なんて思っていて…これからもよろしくお願いします。 (2017年11月14日 19時) (レス) id: 9be0b69fd5 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 「世界はそれを愛とよぶ」から拝見しています。タロウさんの作品に出会い、久しぶりに頻繁に占ツクにアクセスするようになりました！差し出がましい申出かとは存じますが、タロウさんは作者登録はなさらないのですか？これからも続き、楽しみにしています！ (2017年11月14日 8時) (レス) id: dbdd18e851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タロウ | 作成日時：2017年11月12日 22時
