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「A」
頭上から聞こえた声に振り返ると、そこには大好きな紫耀の姿。
はっと胸が高鳴るのも待たずして、隣に居る人の姿を見て、一気にざわつく心臓。
それは、一個上で有名な美人な先輩で。
「…あ」
「2時間目の時何言ってるか分からんかった？」
「…あ、あれね、全然」
紫耀の屈託のない笑顔が眩しくて。隣に居る先輩の余裕そうな表情もなんだか悔しくて。
「古文の教科書って言ってたんやけど。…古文の教科書の中身見た？」
「…あ、あれ！本当に！！」
「俺の中での力作やから。あ、消したりしてへんよなー？」
「消すのも面倒だったから消してません」
べー、と私が顔を歪ますと、紫耀はアハハ、と嬉しそうに笑う。
「あれ、最高でしたよ」
と、私と紫耀の間に、神宮寺くんの声が割り込んできた。
紫耀は、神宮寺くんを見て目を丸くさせる。
「誰？」
と、私に問いかけてきて、私は小さな声で、
「昨日言ってた転校生」
と告げると、紫耀はああ！と、また笑顔になる。
「神宮寺勇太です」
「平野紫耀です」
お互いぺこりと頭を下げると、食堂のどこからか、キャーと声が聞こえた。
学年の二大トップと思われるイケメンが接してるのを見てるだけで、一部の女子は興奮するんだろう。
「じゃあまた今度ね。ごめん、行こう菜々ちゃん」
手を振って、先輩のことを手招きして2人は食堂の出口へ向かって行く。
私はその愛しい背中をぼーっと見送る。
「どういう関係なの？」
神宮寺くんが、私に尋ねる。
「幼馴染だよ、ただの」
自分にも言い聞かせるように、そう答えると、神宮寺くんはふーん、と鼻を鳴らす。
「すっげえイケメンだな」
「でしょ」
「自慢の幼馴染ってわけだ？」
「……さあね〜」
これが私の可愛くないところ。
本当は自慢の幼馴染だし、大好きだし。
でもそんなことを思ってるなんて、誰かにバレたら恥ずかしくて。
…言えない、言えるわけない。
この距離感でいいんだ。この距離感で。
「好きなの？」
その一言に、私の胸が過敏に反応する。
でも、出来るだけバレないように、と、私の頭が平静を装え、と指令を出す。
「…なわけ」
ない、と断言できるほど、私の心は強くなくて。
すると、
「分かりやす」
と神宮寺くんは笑った。
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あきんちょ - めちゃめちゃ良かったです！ぜひぜひ2nd season かいてほしいです！ (2019年5月7日 23時) (
レス) id: 5f9a7e6066 (このIDを非表示/違反報告)
タロウ - ののさん» コメントありがとうございます！わたしの処女作品から！嬉しいです！拙い文章ではありますが、楽しんでもらえれば幸いです！！作者登録はあまりするつもりはありません…フリーダムにやっていきたいなあ、なんて思っていて…これからもよろしくお願いします。 (2017年11月14日 19時) (レス) id: 9be0b69fd5 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 「世界はそれを愛とよぶ」から拝見しています。タロウさんの作品に出会い、久しぶりに頻繁に占ツクにアクセスするようになりました！差し出がましい申出かとは存じますが、タロウさんは作者登録はなさらないのですか？これからも続き、楽しみにしています！ (2017年11月14日 8時) (レス) id: dbdd18e851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タロウ | 作成日時：2017年11月12日 22時
