親知らずなんて、俺知らない 4 (翔) ページ46
雅紀Side
苦笑いをしていた翔にぃは、
諦めたようにため息をつくと、床に腰を下ろした。
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雅「よしっ。じゃあごろ〜ん。」
翔「んっ・・・・・・・///」
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俺に背を向けている翔にぃの肩を掴んでゆっくり後ろに倒すと、
赤くなった顔がすっぽりと俺の足の間におさまった。
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翔「まさき・・・・顔、近い///」
雅「え〜、いつもこれくらいなんだけど(笑)」
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むしろいつもより遠いくらいだよ。
そんなに顔真っ赤にしちゃって。
もう、かわいいんだから(笑)
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雅「さっ、早く診ちゃおうね。
お口開けて?」
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翔にぃの頭を少し持ち上げて診やすい位置に調節してから、
顎に手をそえて軽く下に引いていく。
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けど・・・・
顎に力入っていて全然開かないんだなぁ。
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雅「ほら、あーん。」
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頬に手をそえながら顎をそっとトントンとたたいてみる。
Aも見てるしね。
そろそろ開いてくるんじゃないかな。
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翔「んっ・・・・・あー・・・・」
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そうだよねぇ、翔にぃ。
Aの前じゃ頑張るしかないよねぇ。
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雅「うん、よく見えるね〜」
「しょーにぃ、すご〜い」
雅「ねぇ〜。お利口さんだね〜
やっぱりお兄ちゃんは強いね。」
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翔「まはき・・・はあくひへ・・・」
雅「あぁ、ごめんごめん。
早くやろうね。」
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だんだんと小さくなってきた口を大きく開かせて、
ペンライト片手に口の中をのぞいていった。
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雅「ん〜・・・・ちょっと鏡入れるよ?」
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虫歯はそんなに酷いわけじゃなさそうだね。
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問題は一番奥の歯。
これは抜かないとダメかなぁ。
全然歯ブラシ届いてないもん。
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雅「翔にぃ、奥歯、磨きづらくない?」
翔「え?・・・・べつに・・・」
雅「ほんとぉ?
でも虫歯になりかけてるよ?
というより・・・・・・たぶんもうなってるね。」
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翔「・・・・・・・・・。」
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あら、黙っちゃった。
そんな、次の言葉は言わないでくれって顔でみつめられても困るよ。
さすがにこの歯を温存するのはリスクが高すぎる。
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大きな虫歯になってからじゃ遅いんだよ?
・・・・・もう、覚悟を決めようよ。
頑張って早く抜いちゃおう。
ね?・・・・翔にぃ。
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俺らはお互いに難しい顔をしたまま、
しばらくの間、目だけで言葉のやりとりをしていた。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
