中耳炎 9 ページ20
和也Side
和「開始したら一気に進めますので。
急で悪いけど、よろしくおねがいします。」
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看護師2人に急遽手伝ってもらうことになった今回の処置。
見知らぬ顔のナース服の女性に、
Aは完全に怯えてしまっていた。
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2人とも優しい人なんだけどなぁ〜
顔だって怖いわけじゃないし、
声掛けだって小児向けにしてくれてる。
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一生懸命やってくれてる2人にはわるいけど、
たぶんAには何やっても効果は0なんだよなぁ。
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和「よしっ、じゃあ始めましょうか。」
俺の合図で看護師がAの頭をガッチリ固定して、
翔にぃが身動きが取れないくらいに体を押さえこんだ。
細かい作業だから、動かれると本当に危ないからね。
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かなりの力で固定してるから、
押さえこまれてるところ、痛いんじゃないかな。
ごめんね、A。
おにぃ全力でやるから。
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めっちゃ集中して速攻で終わらせる!!
そのかわり、声をかけてあげる余裕はないけどね。
そこんところは翔にぃに任せといたから。
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「んっ・・ふぇぇ・・・あぁぁ!!・・うわあぁぁぁん!!」
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何人もの大人に囲まれて、
これでもかってくらい押さえつけられて・・・
それだけでAはもう限界だったようで。
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怯えすぎて声すらだせなくなっていたAは、
俺の手が耳に触れた瞬間、爆発するように泣き出した。
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ごめん、ごめん・・・怖いよなぁ。
いまからちょっと痛いことするけど一瞬だから。頑張ろうね。
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そう心の中で唱えながら、
俺は切開刀を手に、短く息を吐き出した。
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和「・・・・・いきます。」
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泣いているAにかまわず、
鼓膜にプッツンと小さな穴を開けていく。
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“ぎゃぁぁぁ〜”という泣き声は俺にも届いているが、
ここで手を止めるわけにはいかない。
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一番痛いところはもう終わったからね。
もう少し・・・・もう少しだよ・・・・
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和「・・・はい。吸引。」
看護師さんに器具の受け渡しをしてもらっているから、
処置もスムーズに進む。
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慣れない看護師さんでAを怖がらせちゃったけど、
この人たちがいるといないのとでは、処置にかかる時間が全然違うからね。
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ほら、その証拠に、あっという間に終わっちゃったよ。
今回の治療時間はたぶん今までで最短。
Aのためなら限界だって超えられるんだな。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
