風邪ひき潤くん 10 ページ31
翔Side
どうも潤の様子がおかしいと思ったら、
病院で薬塗ってきたんだってね。
これだけ腫れてたら痛かったろうなぁ。
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特に我が家はみんな、おぇってなりやすいから。
そりゃそんな苦しい思いしたら、怯えるのも当然か・・・
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高熱で、真っ赤に喉が腫れあがってて、大泣きして、嘔吐して・・・
そのうえ過呼吸にまでなった潤は、
疲れて眠るどころか、さらに機嫌悪く泣き続けていた。
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ただでさえ脱水気味なんだからさぁ・・・・
そんなに泣いたら、体の水分なくなっちゃうよ?
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翔「じゅーん。
もう、そんなに泣かないの。
ほら、目つぶって少し体休めよう。」
潤「ふぇ・・ﾋｯｸ・・ﾝｯ・・ﾝｯ・・うぇ〜ん」
和「ダメだねぇ・・・」
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もう何やってもダメ・・・
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背中撫でてやろうと思って横向きにさせようとしても、
体に触れただけでものすごい拒絶を示す。
同じ理由で頭も撫でてやれない。
流れ続ける涙を拭いてやることもできない。
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今、潤にとって俺らは敵にしか見えていないのだろう。
本当ならすぐにでも安心させてやりたいところだけど、
俺らの言葉すら届いていないようで、まったくと言っていいほど効果はなし。
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これには俺も和もなすすべなく、ただ困惑するばかりだった。
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智「ありゃ? まだ泣いてるの?」
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シーツやら布団やら、
汚れてしまったものを片づけてくれていた智にぃが部屋に戻ってきた。
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俺らの状況報告を苦笑いで聞いていた智にぃは、
ベッドの横にしゃがみこむと、両手を伸ばして潤をそっと抱き寄せた。
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当然潤はビクッと反応して智にぃの手を振りほどこうとする。
それでも智にいはそんなのお構いなしに、
潤の抵抗より強い力で、しっかりと背中に腕をまわしていた。
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智「だいじょうぶ・・・・・・・だいじょーぶ。」
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不思議とさっきまで暴れていた潤の体からはスッと力が抜けていって、
あれほど溢れ続けていた涙も止まっていた。
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静かになった部屋に響くのは、
潤の耳元でささやかれる智にぃの優しい声と、
背中をたたくトン、トンという微かな音だけ。
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この人には敵わない・・・・
改めてそう思った。
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革ベルト
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
