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.N side
「お待たせ」
「ううん、全然」
次の日、リスケした打合せを少しだけスタッフと会話して、そのあと2人だけで空部屋に移動してきた。
温かいコーヒーを手に、戻ってきた潤くん。
カップを受け取ると、一口含んで、ほっ、と息を吐いた。
「ごめんね。時間もらって」
「ううん。どうせこの後何もなかったし、家に帰るだけだったから」
少しの沈黙が訪れて、気まずい空気が流れる中、ドクドクと心臓の音が響く。
「…昨日は、………急なお願いにも対応してもらって。……ありがとう。おかげで、助かったよ」
「ううん。…あの人、無事でよかったよ」
「うん」
何を言ったらいいだろう。
何から、伝えたらいいだろう。
悩んでいると、潤くんが先にその口火を切った。
「……ニノの大切な人。………あの人のこと、なの？」
綺麗なアーモンド型の瞳が、俺を見つめる。
「……うん」
「好き、……なの？」
「うん、」
一言、肯定の返事しかできない俺に、潤くんは静かな口調で問いかけた。
「…ただの、友達じゃない、……って、ことだよね？」
「そう、……だね」
「傷つけたかもしれないって、…言ってたけど」
「うん、……でも、昨日ちゃんと話して。………和解したから」
「和解……ね、」
ゆっくりと顔を上げると、潤くんは険しい顔をして俺を見ていた。
その瞳を見て、俺は意を決して口を開いた。
「……付き合うことに、…なったから」
しん、と静まり返った部屋に、俺のその言葉が消え入る。
「昨日、向こうも想いを伝えてくれて。…俺は、……俺が、守りたいって、…強く思った」
「守るって……、」
「…目が見えないんだよ」
反論されるような気配を感じて、被せるようにしてその言葉を遮った。
「あの人を見ていると、…どんなに辛いことがあっても自分の力で乗り越えてきたあの人を見てるいると。…勇気が湧いてくるんだ。……でも、あの人はそんなに強い人間じゃないから。…あの人の光になってやりたいって、……そう思ってる」
迷いなんてない。
何を言われたって、迷わない。
「あの人が障害を持ってるから反対だとか、…男だから反対だとか。……いろんな反論はあると思う。それは分かってる。……でも、そういうこと全て取っ払って。……一人の人間として。あの人のことを、好きなんだよ」
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作者名：aim | 作成日時：2019年6月16日 15時
