【Fischer's】水魚之交 III【短編集】

ぺけたん：想いの丈 ページ49

最近ぺけたんとのスキンシップが無い。明らかに付き合ってから彼が私との接触を避けるようになっている。嫌われたのかもと思ったが、じっと見つめているとにっこり微笑まれるので益々謎だ。
こうなったらもう、ドッキリをして私の事をちゃんと見てくれているのか確かめないと!

『ぺけたんおはよう』
「おっはよー」

『ぺけたんこんちわっす』
「お疲れー」

「最近ほぼ毎日会えてるね」
『そうかなぁ?』

ドッキリを開始して早1週間、毎日必ずぺけたんの前に立ち姿を確認させているがまだ気付いた様子はない。
私は、毎日2cmずつスカートの丈を短くしていつ気付いてくれるか試している訳だけど、膝下から始めたスカートはもう膝上で私が普段絶対履かない程の短さになっていた。

『こんなに気付かないなんて…』

正直もう恥ずかしい程度にまで到達しているので、1日でも早く指摘して欲しいのにぺけたんと来たらこの野郎。
そして1ヶ月が経過してしまいいつの間にか、セミショート丈程の短さにまで到達してしまった。座る時は焦るし、腰を屈めないし、風なんて恐怖でしかない。なのに横を歩いてもぺけたんは気付かない。
なんだコイツ!全然私の事見てくれてないじゃんか!寧ろ他のザカちゃんやシルクに心配されたぞ!?

『ぺけたん。ちょっと話があるんだけど』

結局、ドッキリの全貌を明らかにして叱るしかなかった。

「何?」
『最近の私何か違ったと思わない?』
「特には」
『じゃあ手貸して』

返事を聞くより先にぺけたんの手を露出した太腿に乗せてやると、明らかに彼の表情が変わった。
やっと気付いたな。そう思った時乗せた手がスカートの裾に侵入してきた。

『ファッ!?ちょちょちょちょぺけ!ぺけちゃん!』
「気付いてたよかなり前から」
『はっ?』
「でも女の子が好きでやってるファッションに変に指摘したくなかったし、それに…日に日に短くなっていくから、何処まで足出してくれるのか見たかった」

ぺけたんはスカートに気付いてはいたもののこれがドッキリだった認識はなかったようで、随分積極的になった私を見て楽しんでいたらしい。

『も、弄ばれた…』
「そうだねぇ。でもそれは俺も同じだよ」
『え…』
「ずっと我慢してたんだから。誘ってるんだと思って」

本人、つまり私にはそんな気は更々なかったが、男にはどうもそう見えてしまうようで、一枚上手だったぺけたんはニヒルに笑って私を押し倒した。
負けず嫌いと性根の捻じ曲がった彼の、特別悪い所だ。

END

　

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