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『……』
渡「…」
向「しょっぴー怒らんとってや?せっかくの旅行なんやし、楽しんだ方が勝ちやし、それに…、あんなん慣れっこやん」
渡「そーだな」
『……』
すぐに気持ちを切り替えて違う話を始める2人。その後ろに並ぶ私とさっくんは、同じようには会話を始められなかった。
いつもにこやかな彼でもこうなってしまうぐらいに世間は冷たい。
『さっくん__』
「うわ、揃いも揃ってΩで仲良しこよしか〜。楽しそうだよなあ」
「ぎゃははっ、やめてやれって。Ωなんて群れてないと生活出来ねーんだから」
『……』
大して離れてもいない道路の向こう側から聞こえてきたのはつまらない煽りだった。
『私言い返す』
佐「A、だめ」
『え?』
渡「……」
向「……しょっぴーもあかんで」
渡「わかってる…」
『何で…』
「君達に言ってんだよー」
「ばーか、やめてやれって」
「ああやって無視するしか出来ねーんだよ」
「何したってαには勝てねーんだからさ」
下品に笑って去っていく男の人たち。その集団には気まずそうにしている女の人も数人居た。
多分、Ωだったと思う。
平和ボケしていた頭が、ようやく優劣の現実を理解し始めた。
言い返そうとした私をさっくんが止めたのは、αに従うΩというグループの構図にすぐ気づいたから。
いつの間にか守るようにさっくんの腕の中に包まれ、翔太くんと康二くんが私達を隠すようにして立っていた。
女でしかもΩの私が言い返してしまったら、火に油を注ぐことになっていただろう。
佐「言い返したい気持ちもわかるよ。だって俺たちそういう部活に入ってるしね」
『……』
佐「でもあの部は照達がいるから成り立ってる。それだけは忘れちゃだめなんだよ…」
『っ…』
悔しそうに唇を噛むさっくんを見て、追いかけてでも撤回させたかった気持ちを飲み込んだ。
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紅彩(プロフ) - hanakoさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!止まらなくなってしまったとのことで、とても光栄です。楽しみにしてくださってありがとうございます。これからも精進して参ります…!🙇♀️ (2022年1月19日 15時) (レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - このお話全て大好きです!!読んだら止まらなくなってしまって終わってしまったのが悲しいんですけど、、これからのお話も楽しみにしてます!! (2022年1月18日 13時) (レス) @page44 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
紅彩(プロフ) - あやかさん» 最高の褒め言葉をたくさんありがとうございます!青さんルートはすごく好評で私も嬉しいです🥰お休みいただきますが、ぜひまた新作でお会い出来たらと思います!ありがとうございました🙇♀️ (2021年10月21日 2時) (レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 完結おめでとうございます!初めて触れるオメガバースがこの作品で本当に良かった!と思える程面白く、毎回更新がとても楽しみでした。青さんルートが可愛くて大好きです♡しばらく主様の作品が見れないのは残念ですが、新しい作品も楽しみにしてます。お疲れ様でした! (2021年10月20日 2時) (レス) @page43 id: 13463c30b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅彩(プロフ) - たぬさん» ありがとうございます!!どの人のルートもと言っていただけてすごく嬉しいです😭ご縁がありましたらぜひ他のお話でもお会いできたらと思います。これからも頑張ります! (2021年10月17日 11時) (レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅彩 | 作成日時:2021年9月25日 0時