【3/9】此処からも、貴女の隣からも。後@まゆおん ページ6
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式が終わって、友人に「先に行ってて!」と告げた僕は、無い体力をフルに使って音楽室に向かっていた。
寒くて長い廊下に嫌気がさしたけど、これも今日でおしまい。そう考えると、それさえも寂しく思えた。
音楽室の前に着くと、中からはポロン、ポロンと途切れ途切れにピアノの音が響いていた。
そぉ、っと除きこむようにドアを開けると、いつものように可憐な姿でピアノを弾くA先生が見えた。
「…!先生」
そう声を掛けると、先生は驚いた顔をして。でもすぐに笑顔に変わって、こちらに駆け寄ってきた。
「式はもう終わったの?」
「はい、まあ。」
先生に会いたくて、急いできちゃいました。
珍しく素直にそう言ってみようとすれば、先生の手にはめられている"ナニカ"が目に入った。入って、しまった。
「…先生、それ」
「…っ、あ…」
眉を下げて僕を見上げる先生の姿を見て、すぐに察した。
「…いいじゃないですか。伊東先生、いい人ですし…。
先生の事も、きっと幸せにしてくれますよ」
泣きそうになるのを堪えて、そう呟きながら先生の頬に触れる。
頬にはもう、何粒もの大きな涙が落ちていて。
「ッ…ゆりんくん、私、っ」
「…泣かないでくださいよ、僕もう卒業するんです。高校からも、」
Aせんせいの、そばからも。
彼女の白い華奢な手には、まるで鎖のようにシルバーのリングが嵌められていた。
それは、僕が絶対に、彼女に与えることが出来ない"もの"であり"これから"。
その存在に僕がなりたかった。いくら、そう望んでも無理なものは無理だし、神様がその"不可能"を"可能"に歪ませてくれるとも思えない。
だから、
(先生の手に触れるものは、ピアノと僕だけでよかったのに)
彼女のそばも、此処も、この想いも。
ぜんぶぜんぶ卒業しちゃえば楽になるよね?
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まゆおんと申します。なんとでも言ってください。
今回は一応、卒業生ゆりんくん×臨時音楽教師夢主をテーマに書いてみました。
切ないかんじ上手く表現できなくて涙なみだです。すみません。
( ^o^)<私が書いてるもの
最新→歌詞さんメインのティアドロップの産声【 http://uranai.nosv.org/u.php/novel/mayu_kashi/ 】
日替わり→恋色、ときどき涙色。【 http://uranai.nosv.org/u.php/day/mayuon1hi/ 】
お粗末さまでした!
まゆおん*
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相川りい@千里嫁(プロフ) - ああああああ参加できなくてすいません!!いろいろあって!いやもう言い訳通用しませんよね!ごめんなさい!でもみなさんの文章素敵です! (2014年3月25日 16時) (レス) id: 270c8cb67b (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - お疲れ様でした!昨日卒業式でした(´;ω;`)この小説見て中学でも頑張ろうって思えました!これからも皆さん応援してます! (2014年3月21日 13時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
ちー。(プロフ) - お疲れ様でした! 本当に楽しかったです!! ありがとうございました! (2014年3月21日 8時) (レス) id: 1a53920cc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ姫@蛇足厨(プロフ) - 卒業リレー!?もう、嬉しすぎますヾ(^▽^)ノ私今年卒業するのでとても、嬉しいですヾ(^▽^)ノ (2014年3月10日 16時) (レス) id: 20f7776008 (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - そそそ卒業リレー!えっとありがとうございます!← 私今年卒業なのでとっても嬉しいです!皆さん応援してます!頑張ってください! (2014年3月7日 18時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:graduation x他9人 | 作者ホームページ:ありません
作成日時:2014年2月25日 16時