【3/8】恋猫、君といつまでも 1/2@りりー ページ3
*
もう、子供じゃないのに。
3年間慣れ親しんだ高校の卒業証書を入れた筒を握る。
今日は花冷えで。まだまだうそ寒い。
高校を卒業してもまだ私は子供なのだろうか。
“彼”から見ればそうなのかもしれないけど、私はもう制服を卒業したのだ。
___それでも、子供?
そんな自身の論や意見が無限ループを始めようとしだした頃、“彼”が私を呼んだ。
「Aちゃん!」
「あっ……歌詞さん!」
歌詞さんは私よりもずっとずっと年上で、小さい頃からお兄ちゃんのように面倒を見てくれてた人だ。
夏から付き合っているけど、一向に手を出してくれない。
「卒業おめでとう、」
「ありがとう!」
端正に整った綺麗な顔が私に向けられて、にぱっと微笑む。
小さい頃から変わらない、私の大好きな笑顔。
だけど、それが変わってくれないのも不安。
私はまだ、妹みたいなままなんじゃないか、魅力が…ないんじゃないか。
そんな嫌悪に陥ってしまう。
思わず怪訝な顔になってしまうと、目敏くそれに気づいた歌詞さんが声をかけた。
「どうしたの?」
「あ…の、ね
____私って魅力、ないかな。」
「何か、あったの」
その顔は絶対気づいてる。
きっと、随分前から怪訝の真相に気づいているんじゃないだろうか。
それならいっそ、と顔を上げて、真っ直ぐに見つめて、
「Aちゃ…?」
触れるだけの軽いキスを交わした
「歌詞さん私のことまだ子供扱いしてるでしょ、ねえ、折角恋人になれたのに何もしてくれないって、ぜんぜん……!!」
___意味ないよ。
その瞬間、唇ごと言葉が奪われた。
それはきつく後頭部から押さえ込まれて離れない。
そして遂には強引に唇をわって、深いキスへと変わりだした。
花冷えなんて嘘みたいに熱い。
ほんのすこし、こわかった。
“なんだかいつもと違う”
強引な手つきに言いきれない鼓動の高鳴りと恐怖がシンクロして
もう、よく、わからない。
そして唇が離れて、薄く開いた瞳が捉えられる。
そして、歌詞さんは小さくため息を吐いて告げた。
「ごめん。大人だよ、もう。充分すぎるくらい。
でも、そうやってAちゃんが怖いって感じるうちは絶対にしたくないってか、しない。」
「…」
__してほしいことを、してやらないと言われて、こんなにも嬉しいのはどうしてなのか。
たぶん…それは、歌詞さんが年齢の差のの殻を破って剥き出しの生身で触れてくれたからなのだろう。
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相川りい@千里嫁(プロフ) - ああああああ参加できなくてすいません!!いろいろあって!いやもう言い訳通用しませんよね!ごめんなさい!でもみなさんの文章素敵です! (2014年3月25日 16時) (レス) id: 270c8cb67b (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - お疲れ様でした!昨日卒業式でした(´;ω;`)この小説見て中学でも頑張ろうって思えました!これからも皆さん応援してます! (2014年3月21日 13時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
ちー。(プロフ) - お疲れ様でした! 本当に楽しかったです!! ありがとうございました! (2014年3月21日 8時) (レス) id: 1a53920cc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ姫@蛇足厨(プロフ) - 卒業リレー!?もう、嬉しすぎますヾ(^▽^)ノ私今年卒業するのでとても、嬉しいですヾ(^▽^)ノ (2014年3月10日 16時) (レス) id: 20f7776008 (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - そそそ卒業リレー!えっとありがとうございます!← 私今年卒業なのでとっても嬉しいです!皆さん応援してます!頑張ってください! (2014年3月7日 18時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:graduation x他9人 | 作者ホームページ:ありません
作成日時:2014年2月25日 16時