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放課後。これからまた勉強することに関しては気にしていないが、相手を考えると、ため息がこぼれた。
生徒会室で勉強をするということだけは、生徒会役員のオスマン様とやらから聞いていたので、生徒会室へ向かった。
生徒会というのは毎週火曜日に活動しているらしいので、その日以外はきっと毎日来たほうがいいんだろうな。
生徒会室、とプレートの掛けられた扉を数回ノックする。返事はないが、了承と受け取り、扉を開いた。
「失礼します…。」
恐る恐る中を覗くと、生徒会長は１人、椅子に座っていた。
光の反射で、きらきらと輝く赤の瞳は、何時もより色素が薄く感じた。
ふと此方に気付き、がたりと音を立てて立ち上がる彼。
「あー、えっと、勉強…。」
「…あぁ、ここへ座ってくれ。」
少しくすぐったいようなバリトンボイスが鼓膜を揺らした。
指示された席は彼の隣だったが、勉強を教えてもらうので仕方ないか、と着席した。
どの教科をするのかわからず、取りあえず苦手科目だけ持って来ていたので、準備をしていると、不意に声を掛けられる。
「久しぶりだな、A。」
「…え、」
彼の声がした右隣を向くと、静かに抱きしめられた。昔と唯一変わらない、やさしいぬくもり。
…やはり、覚えていたのか。
「…久しぶりだね、グルッペン。」
そっと彼の背中に触れた。大きな背中は、やはり小さい頃と全く違う。
外国ではスキンシップが多いと聞くが、この状況はどうなのだろうか。私としては、少しばかり恥ずかしい。
幼いころは抵抗なんてなくても今は体格だって全く違うわけで、反射的に抱き返してしまったが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「…勉強、しよう?」
「…明日からじゃ、駄目だろうか。」
まだこうしていたい、とばかりに抱きしめる力を彼は強めた。
今日は水曜日。明日と明後日でも勉強は確かに出来るが。
困った、と机に目をやると、甘党なグルッペンが食べていたのであろう、ヌガーが置いていて。
ほのかに香るシロップの甘い匂いが、グルッペンの甘い匂いと混ざって、目眩がした。
____
ヌガー…炒ったアーモンドやクルミと、はちみつやシロップで作る飴のような砂糖菓子。
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稚都(プロフ) - 白猫さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると、とても励みになります。今後ともこの作品をどうぞ宜しくお願いします。 (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 170c23df6e (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - めっちゃ好きです！ (2019年2月12日 15時) (レス) id: 02b81b04f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稚都 | 作成日時：2019年2月11日 15時
