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ガラガラと音を立てつつ、生徒会室の扉を開いた。しん、と静まり返っているその部屋に誰もいないことは安易に想像できた。
まだ、彼は来ていないようだ。
きっとぎこちなく接してしまうだろうという気持ちは打ち消され、安堵のため息をつく。１人で勉強が出来ないわけでは無い。今までの復習をしておこう、とパイプ椅子に腰掛けた。
× × × 。
「…おかしいな。」
あれから20分が経とうとしているのに、一向に彼が来る気配はない。
何か急用でもできたのか、なんて思いもしたが、真面目な彼のことだ。連絡をよこさないなんてことは有り得ない筈。
首を捻りつつも、何かわけがあるのだろうと、勉強を再開しようとしたのだが。
「君、グルさんの…。」
「あ…。オスマン様、どうも。」
開かれた扉の向こうには、オスマン様が居た。一度だけ、生徒会室で勉強するという旨のことを伝えられたときに、軽く会話をしていたので、覚えられていたのだろう。
椅子に座ったまま体の向きを変え、軽く会釈をすると、彼はにこりと穏やかに笑った。
「グルさんに話があってんけど…、おらんみたいやな。」
困った、という風に眉を下げたオスマン様。生徒会の方でもグルッペンがいないことを知らないなんて、本当にどうしてしまったのだろう、と少し不安になる。
「帰ってしまったのでしょうか。」
「んー…、そうかもしれん。君も帰ったほうがええよ、最近物騒やし。」
グルさんに会ったら宜しく言っておいて欲しいめう、とだけ言って、生徒会室を綿毛のようにふわりと出ていった。めう、って。女子か。
「…しょうがない。」
もう今日は帰ろう、と立ち上がった。
この時、オスマン様の物騒だという言葉を、もう少し深追いしてれば良かったのかもしれない。
空と雲が同化していく。西の空は、黒に染まっていた。
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稚都(プロフ) - 白猫さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると、とても励みになります。今後ともこの作品をどうぞ宜しくお願いします。 (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 170c23df6e (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - めっちゃ好きです！ (2019年2月12日 15時) (レス) id: 02b81b04f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稚都 | 作成日時：2019年2月11日 15時
