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「この子どうするん?」
「寝かしておけばええやろ、そのうち起きる。」
えぇ、そうかな、と不安そうなシャオロンを横目に、彼女を椅子からベッドの上へと移動させてやる。
酔ってしまうとは計算外だったが、あの程度のアルコールならば問題はない筈。ほのかに頬を紅潮させ、規則正しいリズムで呼吸をしながら眠る、彼女の前髪を優しく撫でた。
「ホンマに彼女ちゃうんや、その子。」
「何故?」
「いやぁ、見るからにカップルって感じやなぁと、思いまして。」
ボンボンを食べつつ、そんな事を言う。シャオロンは、彼女が結局口にしなかった、冷めきったアールグレイを口にした。
「…ま、ええわ。そんなことよりさぁ、話があんねんけど。」
カチャリ、食器の音が響く。やはり、この連中が何の用事もなく、俺の家に来るはずがない。…例外もあるにしろ。
椅子に再度腰掛け、紅茶のカップを手に取った。冷めてぬるくなってしまったそれは、涙のような味がした。
「… “ 彼女 ” のことなら、既に話は終わっている筈だが?」
「それが残念、まだ諦めてへんよアレは。現に、今こっちまで追いかけてきてる。」
その発言に、思わず眉をひそめた。
シャオロンは、そのうち学校まで同じにしてくるんやない?と不機嫌そうに呟く。またひとつ、ボンボンを口へと放りこんだ。
「兎に角、気を付けてよ。遠野ちゃんにも被害が及びかねんから。」
「…あぁ。」
ガタリと立ち上がり、じゃ、と再び窓から出ていったシャオロン。お前は忍者か、と突っ込みたくもなったが、何も言わなかった。
ふと、視線をベッドで眠る彼女へ移す。その姿はさながら棘姫のようで。
音もなく立ち上がり、彼女の元へ寄ると、頬に優しく唇を落とした。愛しいその唇に、今触れてしまえば、歯止めが効かなくなりそうで、グッとこらえる。
彼女は眉間に皺をよせ、小さな声でうめいてから、ゆっくりと目を開けた。心なしか、まだほんのりと顔が赤い。
「…あれ、グルッペン…?」
硝子細工のように透き通った、しとやかな声が耳を刺激する。彼女を俺のものにしたくて、たまらない。
胸が無性に痛んだ。
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稚都(プロフ) - 白猫さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると、とても励みになります。今後ともこの作品をどうぞ宜しくお願いします。 (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 170c23df6e (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - めっちゃ好きです！ (2019年2月12日 15時) (レス) id: 02b81b04f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稚都 | 作成日時：2019年2月11日 15時
