お部屋でいちゃこら【短編集】 (ページ13)

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ワンナイト【緑】ページ13

※バーテン緑さんとお客さん
※きわどい表現ありです。苦手な方は回避お願い致します(TT)
※緑side

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『ん……』

「あ、起きた。おはよ」

『ッッッッ！？！？』

もぞもぞ寝返り打って、俺が視界に入るやいなや勢いよく飛び起きた。お店の常連客のAさん。俺より年上の、バリバリのキャリアウーマン。

そんな人が今隣で、頭抑えて唸っとる。そりゃ、あんだけ呑んだら二日酔いやろな。

『あ、あのっ…なっなんで私ここに…』

「んー？…なぁんも、覚えとらんの？」

『ごっごめんなさい、お店に行ったことは覚えてるんだけど…』

そう。昨日Aさんが店に来た。

いつも通り、仕事終わりのパンツスーツ姿でカウンターの端っこの席に座ったけど、いつも通りやったんはここまで。

まさに「ヤケ酒」って言葉が合うような呑み方。ウイスキーをロックでいつもよりハイペースで呑んでいくAさんを見て、普段は客の呑み方に口出したりせえへんけど、心配になって声をかけた。

「Aさん、ペース早すぎません？」

『いいの！今日は呑むって決めたんだから！』

「翌日に響きますから、ほどほどにしといた方がええですって」

『はい！おかわりっ！』

「んもー…頑固なんやから」

店員と客っていう関係性じゃ、これ以上強く言うこともできず、言われるがまま酒を提供する。たいぶ酔いが回ってきたのか、Aさんが独り言のように話し始めた。

『どんだけ人より頑張って成果あげても、結局は「女だから」で片付けられるのよ』

『絶対に私の方が……っ』

ぐびーっと勢いよく呑み干すと、こちらを見つめて無言でグラスを差し出す。あーあ、ちょっと涙目やん。

「お仕事、お疲れ様です」

『んー？これ、頼んでなーい！』

「これは、お仕事頑張ってるAさんへ、俺からの気持ちです。甘めのカクテルもお好きでしたよね？」

普段はきっちりかっちりした言葉遣いなのに、酔って砕けた口調になっている。

いつも来てくれとるお礼と、滅多に弱音を吐かない、凛として人一倍頑張っているであろうAさんへ、お疲れ様の気持ちを込めて作ったカクテル。

グラスを持って観察するように凝視した後、先程までの煽るような呑み方ではなく、ちびちび味わうように呑み始めた。

『…おいしい』

「よかったです」

『グズッ…お、いっしいぃぃぃぃっ…』