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『ああっ横取りだめっ』
俺の手がグラスを掴むのより先に、Aちゃんが身を乗り出して遮る。そのままグラスを両手で持つと、グイっと勢いよくお酒を一気に流し込んだ。
「あーもーあかんって！取らんからゆっくり呑んでや！」
『……ん、』
「Aちゃん？」
慌ててグラスを取り上げたけど、結構な量を一気に摂取させてしまった。よい子は絶対真似したらあかんで。取り上げたグラスを一旦、彼女の手の届きにくい机の角に置いた。
先程まではハイテンションだったのに、急に大人しくなった彼女が心配で、顔を覗き込む。目がとろんとしていて、ぽわぽわした柔らかい笑みを浮かべている。はー、めっちゃかわいい。
『んふふっりゅーへいくんにぎゅーーー！』
「わあ！/// Aちゃんっあきませんってぇーーー！////」
このまま寝かそうかと考えていた矢先、思いきり抱きつかれる。こ、こんなんいろいろあかんんんんん！！！！漢丸山！我慢！！！！
俺の気も知らんと、彼女は抱きついたまま俺の決して鍛えられているとは言い難いお腹に顔を埋めて、抱き枕〜♩なんて呑気なことを言っている。
「Aちゃん、寝るならベッドに行かんと。風邪引いてしまうよ？」
『りゅーへいくん抱き枕がないと眠れんもん！』
「…ちゃんと我慢できるんやろか」
ぎゅうっと更に腰に抱きついてくる彼女に、不安しかない。流石に、酔っている彼女にアレやコレやしようとは思わない。思えない。思ってはいけない。してはいけない。
このままの体制は正直キツいから、そのまま前向きに彼女を抱き上げて寝室まで運ぶことにした。普段なら恥ずかしいと嫌がる彼女も、今日は大人しく、むしろ嬉しそうに首に腕をまわし、肩に顔を埋めてくる。吐息がくすぐったい。もう、勘弁してえや〜
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作者名：おゆ | 作成日時：2019年6月6日 1時
