お部屋でいちゃこら【短編集】 (ページ9)

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お酒【橙】ページ9

※恋人設定
※橙side

「Aちゃーん、もうその辺にしときや？」

『んんん？いやー！これなくなるまで！』

失敗した。

最近お酒の味を覚えた彼女に、地方で見つけた甘めのお酒を手土産に買って帰った。彼女にそのことを連絡すると、早く呑んでみたいと楽しみにしていたから、帰ってきたその足で彼女の家へ。

『りゅーへいくんも呑もう？』

「ん、ゆっくり呑んどるよ。Aちゃんも味わって呑もうな？」

『はぁーい』

彼女のお酒を煽るペースが早くならないように、わざとちびちびお酒を呑む。返事はするものの、言ったそばから美味しそうにゴクゴクをお酒を飲み干していくAちゃん。

普段は俺の家に来ることが多い中、今日は自分の家ということもあってリラックスしている。俺の家に来るときは、何回来ても必ず「緊張する」と彼女は言っていた。その上今日はお酒も入っているんだから、気が緩んでいるんやろうけど、そろそろ止めなほんまにあかん。

『お酒なくなったぁ！りゅーへいくん、注いでください！』

「あああ、Aちゃん、もう今日はおしまいにしよ？これ以上呑んだら気分悪なってしまうで？」

『…やだ。もうちょっとだけ…ね？お願いりゅーへいくん』

「……も、もう～っこれで最後にせなあかんからね！」

『わーい♩』

赤くなったほっぺ＋ちょっと潤んだ目＋上目遣い
＝最強のおねだり

ま、負けてしもた…
グラスの半分くらいのところで注ぐのを止めようとしたら、もっとー！♩と上機嫌な声と共に酒瓶を持つ手を取られ、グラスにお酒が注がれていく。

「あー！溢れる！あかん！」

やや強引に手を引くと、グラスにはなみなみに注がれたお酒。この量全部呑ます訳にはいかんと思い、先に呑んで量を減らしてしまおうとグラスに手を伸ばした。