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道場に入ると、この時間帯ではほぼ見たことの無い人影があった。
｢…お、A｣
『兄さんか、珍しいな。』
｢俺だけやないで｣
兄さんの言葉に辺りを見回すと、背後から何かが迫ってくる気配がした。
体を横にずらして、何かの腕を掴む。
『…誰だ』
｢誰だと思う｣
…この声…
『グルッペンか、稽古もいいがほどほどにな。』
｢兄さんに着いてきただけだゾ！骨が折れてるから見てるだけだが｣
そうだった、グルッペンは1番重症なんだ。
元気ありすぎて忘れていた。
『兄さんはなんでここに来たんだ？滅多に来ないだろう。』
｢お前が来そうやったからな。少しくらい手合わせしてやろうと思って｣
兄さんはなんでこんなに私の考えていることが分かるんだろうか
昔に聞いたことがあるけど上手くはぐらかされた。
勘が鋭いんだろうな。
『…そうだ、グルッペンには言っておくが、体術などに関しては兄さんが稽古をつけてくれる。だから安心してくれ。』
｢！そうなのか！｣
｢おん、よろしくな｣
仲良さげな2人を見ていると、兄さんがグルッペンをなだめてこちらに来た。
｢やろか｣
『！ああ、頼む。』
お互いの間に微かな緊張が走る。
と、その時、ダクトからガタガタッと音がして、何かが落ちてきた。
なんか見たことあるような
｢ゾム！｣
｢グルッペン！！｣
感動の再会のように2人は顔を見合せた。
ダクトを通るのはやめろと言ったのだが。
『……はぁ…』
｢まあまあ、気にせずにやろうや｣
兄さんは苦笑いを浮かべた。
『…くそっ……』
｢俺の勝ちやな。｣
『なんでだ……』
｢単純な力の差とちゃうか｣
『ぐうっ……』
兄さんの39勝5敗、私の5勝39敗か……
ナイフで殺すだけならどれだけ楽か……
兄さん相手はナイフでも勝てる気しないけれども。
ていうか元々私どんくさいんだ。運動神経の無さは筋金入りなんだよ。
｢大丈夫か？｣
『大丈夫だ。問題ない。……そろそろ時間も時間だ。グルッペン、ゾム、みんなを起こして食堂へ行っていろ。』
｢｢はーい｣｣
2人はいい返事をして道場から出て行った。
｢…お前、無理しとるな｣
『……している訳ないだろう』
｢まずお前そんな口調やないやろ。｣
『昔の話だ。』
｢まあ、無理しとらんならええけど、じゃあ先行くわ。｣
兄さんの姿が道場から消えた後、私は静かにその場に座り込んだ。
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ペンギン - 面白いです。続き楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年7月18日 13時) (
レス) id: 5f842aeb4f (このIDを非表示/違反報告)
ヲっす(プロフ) - コメントありがとうございます！楽しんで頂けているなら幸いです！ (2020年4月28日 7時) (レス) id: c07bfd86f9 (このIDを非表示/違反報告)
うにぎらい(プロフ) - 作品読ませていただいています！すごく面白いです！更新楽しみに待ってます!!!応援してます！頑張ってください!!! (2020年4月28日 0時) (レス) id: 2ccfca6d8f (このIDを非表示/違反報告)
ヲっす(プロフ) - 指摘ありがとうございます。おかげで治すことが出来ました。気づいてなかったとはいえ、不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。 (2020年4月27日 21時) (レス) id: c07bfd86f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲっす | 作成日時：2020年4月27日 15時
