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アドラメレクが両手を広げて待つ懐に捕えられたが最後、きっとクロは戻ってこない。
そんな予感がバラムに向かって襲いかかる。
事実、先程バラムに対してクロが見せた表情は、2度と戻らない【覚悟】を滲ませた表情だった。
ダメだ。その先に行ってはダメだ。
バラムが心の中でそう叫ぶのに、クロは構わず一歩一歩アドラメレクの元に向かってしまう。
クロのコマンドにより脱力し切った体に鞭を入れて、ずるりと地面を這って彼女を追いかけた。
「ク、ロさんッ！！！！」
バラムが声を上げる。一瞬、クロの足が止まった。
しかし、
「うるさーい」
「ッ、ゔっ、！？」
バラムの目の前に現れたのは、アドラメレクの腕だった。
瞬時にグッと首襟を掴まれて、そのまま勢いをつけて木に向かって投げ飛ばされる。バラムの視界がぐるりと回る。
＿＿ドン。
「バラムくん！」
「うるさいうるさいうるさーい！！！ “私の”クロを唆した少年なんて、今すぐ息の根止めたいくらいなんだから、少しくらい黙りなさぁい！！！」
「うゔ……っい、！」
背中に衝撃を受けたあと、ずちゃりと音を立てて地面に沈んだバラムの髪を、アドラメレクはまた乱暴に掴み上げた。
アドラメレクの顔がバラムの目の前にあった。彼女の顔はひどく怒りで歪んでいる。
「手を出さないでと言ったはずでしょう！？」
「知ーらなぁい！！ こんな矮小で愚かで脆弱な存在ごとき消えたところで問題ないでしょう！」
バラムの耳に遠くクロの声が聞こえた。
「それに、」
アドラメレクを睨みつけている瞳に、より一層力が入った。
「＿＿＿＿このクっっソ生意気な目が気に入らないのよ……！！」
「はな、せ……！！」
アドラメレクの額に青筋がぴくぴくと浮かぶのが見てとれた。
相当イラついているらしく、髪を掴む力が強くなっているのが分かったが、バラムは目で威嚇するのをやめなかった。
「は〜あぁ、感情に踊らされて、よくもまぁ、そこまでこのアドラメレクに楯突けるものねぇ」
「うる、さ……」
「なまいき〜……♡」
「【やめて】！！」
ギラギラと怒りを隠さないアドラメレクはバラムを掴み上げる手とは逆の手で彼の首元に狙いを定める。
そんな睨み合う二人の悪魔を止めたのは、クロであった。
ピタリ、と動いていたアドラメレクの手が止まる。
「あらあらあら……？」
アドラメレクの手が緩み、バラムはまた地面に叩き落とされた。
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ほるすたいんねこ(プロフ) - 海姫さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようでとても嬉しいです！！ゆっくりの更新ではありますが、お付き合いくださいませ。よろしくお願いします！！ (2023年3月12日 11時) (
レス) id: 4b2c935aae (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - めちゃくちゃ好みのお話です。表現方法も綺麗で楽しく読んでます。更新楽しみにしていますので、これからも頑張ってください！ (2023年3月6日 0時) (レス) id: d925a11138 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほるすたいん猫。 | 作成日時：2023年3月6日 0時
