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「あれ…」
遅刻した、と思ったが
待ち合わせの店にパウリーの姿は無い。
「先に飲んじゃお〜っと。
すいません、ビール！」「コーラだ！！」
…ん？
ﾌﾗﾝ「おお、悪い。割り込んじまった」
男はへたったリーゼントを
整えてペコリと頭を下げた。
「あぁいや…。
アンタ、裏町のフランキーか」
ﾌﾗﾝ「アゥ！その通りだ！解体屋フランキー。
お嬢ちゃんはガレーラの女大工だろ？」
「…お嬢ちゃんはやめろ」
届いたビールを受け取る。
フランキーのコーラも届いた。
ﾌﾗﾝ「こりゃ失礼。お詫びにそれ一杯奢るぜ」
「お、ラッキー♫いただきまーす」
ﾌﾗﾝ「いつもブルーノの店に行くんだが
今日は貸切になっててな。
コーラが切れて死ぬかと思ったぜ」
あぁそりゃ俺たちのせいだ。
作戦会議する時は貸切の札がかけてある。
ﾌﾗﾝ「…大工は大変だろ。力仕事が多い」
「別に。もう慣れた。
解体屋も変わらねぇだろ」
ﾌﾗﾝ「…お前さん、俺が憎くねぇのか？」
「あ？」
ﾌﾗﾝ「この街の人間は大概
フランキー一家を煙たがってる。
そうだろ？まぁ俺はそんなの気にしねぇが」
「…興味無いってのが本音かな。
船を作る奴がいれば、壊す奴もいる。
それにアンタ無作為になんでもかんでも
船を解体してるようには思えないけど」
裏町のゴロツキ共とそのお頭フランキー。
彼らは解体屋として船を解体しては
その部品を売って銭を稼いでる。
「…まぁちぃと乱暴が過ぎるかもしれねぇが」
ﾌﾗﾝ「はは！アンタ、色々分かってるな！
もう一杯奢ってやろう。今日は気分が良い」
フランキーは機嫌良く笑って
俺と肩を組んだ。
ﾊﾟｳﾘ「人の女に気安く触んじゃねぇよ…！！」
「あ、パウリー！」
ﾌﾗﾝ「おお、ガレーラの若頭か。
アンタの連れだったか、こりゃ失礼。
随分イイ女にだったもんで少しお話を」
ﾊﾟｳﾘ「いいから手ぇ離さねぇか」
ﾌﾗﾝ「悪い悪い。邪魔者は消えるよ」
フランキーは席を立ち、
手をヒラヒラさせながら店を出た。
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作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年7月22日 22時
