《大型コラボ》十人十色のバレンタイン《歌い手》 (ページ32)

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「……それは、反則やって……！」

そう言ったかと思うと、顔を赤くしてしゃがみこんでいた。
かという私も、さっきのさかたんの笑顔が頭にフラッシュバックしてきて……
顔が、暑い。心臓が張り裂けそうなほど、ドクドクと波打っている。
______恋って、きっとこういう気持ち。

さかたんと付き合っていながらもよく分かっていなかった「好き」の気持ち。
苺のように甘酸っぱくって、チョコレートのようにほろ苦くって。
メレンゲのようにふわふわしていて、シロップのようにトロッと溶けて。
そして何より、彼のことで頭がいっぱいになって、愛おしくてたまらないんだ。

「……俺からも、これ」

恥ずかしそうに目を伏せてこちらに茶色の紙袋を渡してくるさかたん。
……幸せすぎて、今が現実なのか少し疑うレベルだ。
さかたんは、すごく大きいポ〇ポ〇プリンのぬいぐるみに頭をぐりぐりと押しつけている。
やれやれと思いながらさかたんのもとに近づく。

「ねえ、さかたん？いっせーのーせで同時に袋開けようよ」
「……ええよ」

顔をこちらに向けて、人懐っこい笑みを浮かべる。
……さかたんの方が反則じゃないですか。

「かっこよすぎるって……」

小さく呟く。独り言、のつもり……だったのだが。
さかたんには丸聞こえだったようで赤く染まった顔を隠すようにふいっと後ろを向いてしまった。その仕草さえ、可愛いなあ、なんて思ってしまう私は重症でしょうか。

「んじゃ、開けよか！せーのっ」

さかたんの合図で紙袋を開ける。
そこには、カップケーキとバウムクーヘンが入っていた。
少し形はいびつだけど、それはお菓子専門店と比べたもので。
初心者でこれは本当にすごい。

……何回も頑張ってくれたのかなあ。
そんなことを思いながら二つのお菓子を見ていた。

ちなみに、私が入れたものは、生チョコとキャラメルだった。