【d!】ガラスの靴が割れた。 (ページ6)

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ut「え，何…それ…？」

ウツ様の珍しいおどおどとした視線が私に刺さる。

…隠しておいてもいいことは無さそうね。そもそも，元々こうするのが良案だったはずよ。私一人が何も解決なんてできないもの。

『ウツ様。…こちらを。』

私は封筒に書かれた「敬愛なるシンデレラ様」という文字，そして大量の盗撮写真を見せ，事の経緯を全て話した。

ut「…そ。話してくれてありがと。」

ウツ様は淡々とそれだけ言った。…幻滅されちゃったのかしら。まぁ，別にいいのだけれど。

すると，ウツ様が私の異変に気がついたのか私の頭を優しく撫でる。

ut「…絶対俺が犯人見つけるから。安心して。ね？」

そう微笑む。クズなんて噂のウツ様だが，それは否定できない。しかし，本当のクズではないのも事実だ。
誰かが弱っているときは誰よりも寄り添ってくれる。

…ウツ様のことが少しでも好きな私もクズなのかしらね。

『…ありがとう，ございます。』

何だか気恥ずかしくて，素っ気ない返事をしてしまう。

…ん？そもそもウツ様は何の用事でここまでお越しになられたのかしら。

『あの…ウツ様。ご要件があったのでは…？』

ut「…あー。別に大したことじゃないから！
今はシンデレラちゃんの心身の安全の方がゆーせん。」

そう言って目をそらす。

…嘘ね。ウツ様の癖よ。ウソをつくときに目をそらす。
よっぽど楽しみにしていたことだったはずよ。

どれくらい一緒に居ると思って居るのだか。…嫌，実際そこまで一緒には居ないのだけれど。

ut「も〜…と・に・か・く！」

ウツ様が頭をポリポリ掻いた後，手をポンと叩く。
…あ，話しずらしたわね。

ut「シンデレラちゃんは良く休むこと！
そして，心配はかけていいんだからいくらでもかけて。
…隠される方がちょっとキズつく。」

そう言って少し照れくさそうにするウツ様。
こりゃまた珍しい表情だこと。照れるなんて滅多に無いのに。

そしてウツ様は恥ずかしくなったのか急いで部屋を出ていった。

…夜はあんなだけど，根は優しい方なのよね。これがまた憎めないというか何というか…。

まぁ，なにはともあれ。ウツ様がストーカー探しを手伝ってくださるのはありがたい以外の何物でもない。
そこまで気にせず，ゆっくり待つことにしましょう。