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柔らかく笑う彼女は、傍に居るだけで暖かいと密かに思う。
｢…なぁ｣
｢はい｣
｢手、握っててくれ｣
じわりと続く痛みを、何とかして紛らわせたいという思いもあった、でもそれ以上に握ってて貰えれば安心すると──そんな気がしたのだ。
｢我儘ですね…｣
呆れた様に言う割には優しい。あまり動かさない様に配慮しているのか、握るとはいっても手を重ねる程度だった。
｢…あ、待て待て。俺の指
｢え？何で…｣
｢何でもだ。死にたくないならな｣
まだ告げてはない、俺の個性──下手をすれば彼女を傷つけるだけでなく壊す事になってしまうのだから、気を付けなければならない。
のに、
｢ごめん、もう触っちゃった｣
にぃっと悪戯っ子の様に笑って、言う。
｢は｣
今までの中で、1番俊敏だったんじゃないかって位に跳ね起き、手を振り払った──動かしたせいでズキズキ、痛む手なんか無視して。
｢…やっぱり、個性上？｣
｢え、いや、お前…？｣
Aは──自身の手を眺めながら、なんて事無い様に存在している。あまりの事態に頭が追い付いていかず、彼女の顔を凝視してしまう。何故、何故だ。消えてない。塵になっていない。
｢大丈夫ですよ、ね？｣
子供をあやす様な声だった。
優しく笑って、俺に手を差し出す──その手には崩れている箇所は何処にもない。心臓が、やけに煩く、自分でも分かるほどに動揺している。ゴクリと生唾を飲み込んで、ゆっくりと彼女の手に、自身の手を重ねた。
｢弔さん、凄い動揺してません？手が震え｣
｢…いえ──何でもないです｣
途中まで言いかけていたのに止めて、まだ信じれずに指先だけ触っている俺の手を、彼女は両手で包み込んだ。痛みなんかより、暖かさの方が勝っている。
｢あんまり話した事はないんですけど、私の個性は無効化です｣
ありがちでしょう？と笑う。
ありがちだろうが何だろうが、触って大丈夫な事実に、俺は心の底から嬉しかった。気にせず、触っていていいのだ。恐怖を抱きながら気にしなくてもいい。それが、堪らなく嬉しい。
｢弔さんの個性は？｣
｢…塵に、する。五指全てで触った物を、人を、塵に｣
｢…だから扉とか傘とか、中指だけ立ってたんですね｣
するり、両手共に指を絡めた。
｢どうしました？ていうか、手大丈夫…｣
｢いい、そんな事…このままでいさせてくれ｣
小さく呟いたのに、彼女から｢はい｣と返答が届いた。
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八百(プロフ) - すごく好きです！！続きめっちゃ気になります！！仲直りしてほしいけどもうそのまま行って欲しいって思ってしまう矛盾… (2019年3月21日 21時) (
レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです！これからも応援してます(*´∀｀) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ満開(プロフ) - めずさん» つい笑ってしまいました、コメントありがとうございます！頑張ります (2018年11月23日 17時) (レス) id: 2c4514670e (このIDを非表示/違反報告)
めず - なんでお星様1回しか押せないの！！！って感じに好きです生き甲斐をありがとうございまｧｧｧ！！！！本当はお星様50回くらい押してるので評価の回数に+50しておいて下さい(応援してます頑張って下さい) (2018年11月23日 2時) (レス) id: 73450a1efe (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ満開(プロフ) - 谷崎さん» コメントありがとうございます！声をかけて下さっただけでとてもありがたいです…！ (2018年11月20日 0時) (レス) id: 2c4514670e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゴリラ満開 | 作成日時：2018年10月3日 3時
