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黒霧さんは、マジで弔さんを回収せずに帰ってしまった。正直な所──連れて帰って欲しかったのだけれど、頭を下げられてしまった故に強く出る事も出来ず、面倒を丸投げされてしまっている。
(勘弁してよねほんと…)
息を大きく吐き出し、まだ眠っている弔さんを眺める。寝てる人をガン見しているのもどうかとは思うけれど、それしかやる事がない。
手持ち無沙汰な私は無遠慮に──しかしさっきみたいに黒霧さんが見ているかもしれないと周りを確認してから──弔さんの髪の毛へ手を伸ばした。柔らかい感触で｢おぉ…｣つい声が出てしまう。
凄い、ふわふわしている。犬みたいだ、犬。
｢…やめろ｣
｢ぎゃっ！｣
もふもふと触り心地を堪能していれば、パシリと手を取られる。
｢なんだその声…｣
｢いやびっくりして…手痛くないです…？｣
以前と変わらず中指は立ったまま私の手を掴んでいるのだけれど、包帯が巻かれているのだ、怪我をしているに決まってる。
｢…自覚しだしたら痛い｣
｢でしょうね！？｣
慌てて、手を優しく取り外して見てみれば血が滲んでいた。傷口が少し開いてしまった様で。
｢ほ、包帯…取り替えましょう…取りに行ってきます｣
｢…いや｣
少し腰を上げた所で
｢此処に居てくれ｣
と、言われて固まる。
｢えっと、でも…｣
｢ほっとけば止まる、そうだろ？｣
有無を言わさない、目だ。
｢…痛いって、文句言わないでくださいね｣
｢ん｣
弔さんの目には何となく、逆らえないと思ってしまった。怖い、とかではないのだけれど。
｢そんなに見て何が楽しい｣
｢え？いや…そう言えば、弔さんって傷？が多いですよね｣
誤魔化す様に言う。そりゃあ自分の顔をガン見されてれば気になってしまうだろうに、何を私はぼんやりと見ているんだと、心の中で窘めた。
｢…まぁ、そうだな｣
視線を、逸らされた。多分彼にとって話したくない話なんだろうと、それ以上は言わなかった。
｢あー、じゃあ質問。どうして私の家に来たんです？｣
｢…言わなきゃダメか｣
｢んん…私の家ですし？｣
沈黙。
言おうかどうしようか、迷っている様で(散々にあんな恥ずかしい事をしてきたのだから、今更じゃないかとは思う)──息を吐き出して、吸って
｢会いたかった｣
とだけ、小さく呟いたのだ。
まるで
｢…素直になれない子供みたいですね｣
そう言ってしまう位には、子供みたいだった。
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八百(プロフ) - すごく好きです！！続きめっちゃ気になります！！仲直りしてほしいけどもうそのまま行って欲しいって思ってしまう矛盾… (2019年3月21日 21時) (
レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです！これからも応援してます(*´∀｀) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ満開(プロフ) - めずさん» つい笑ってしまいました、コメントありがとうございます！頑張ります (2018年11月23日 17時) (レス) id: 2c4514670e (このIDを非表示/違反報告)
めず - なんでお星様1回しか押せないの！！！って感じに好きです生き甲斐をありがとうございまｧｧｧ！！！！本当はお星様50回くらい押してるので評価の回数に+50しておいて下さい(応援してます頑張って下さい) (2018年11月23日 2時) (レス) id: 73450a1efe (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ満開(プロフ) - 谷崎さん» コメントありがとうございます！声をかけて下さっただけでとてもありがたいです…！ (2018年11月20日 0時) (レス) id: 2c4514670e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゴリラ満開 | 作成日時：2018年10月3日 3時
