[肆] 六頁 ページ8
((ｷﾞｭｯ
怪我の箇所を包帯でキツめに縛ると、尾形の眉が少し動いた。
『弾が貫通してて良かったな』
手当を終えた桜紅が包帯をしまっていると尾形の手が伸び、桜紅の首筋に触れた。
尾「…これは」
触れた部分には一筋の赤い跡があった。
『ああ、さっきのかな』
そう言えば、明らかに尾形は不機嫌な表情を浮かべる。何に対してなのか分からないは桜紅は不思議に思いながら"この後"のことを聞けば、尾形の表情はいつも通りに戻っていた。
─────
「馬吉の用心棒たちが逃げていく」
「喧嘩が終わった…」
「オイあれ…」
「火事だ」
新「うちの番屋のあたりじゃないか？」
日「え!?」
新「おっ母…！」
走る女将と、それを追う新平。
永倉は地に置かれた木箱を拾い、蓋を開けた。
永「やっぱり、あの女将食わせものですね。人の情を持ち合わせていない。……ところで土方さん。何かいい事でもありました？」
土「そう見えるか？」
─────
『コホッ…』
尾「おい、しっかり抑えとけ」
尾形の手で引っ張られた外套が口元に押し付けられる。それを受け取り布越しに口を開いた。
『いい素材使ってるんだな。やっと炎があがってきた』
尾「そろっと、あの女将が慌てふためいて来るだろう」
その言葉通り、入口の方で騒がしい物音と声が聞こえてきた。先に入った女将は一室の奥へと消え、遅れて入ってきた新平が女将を探すように辺りを見回していたが、突然現れた女将に驚いたように声を上げた。
『へぇ…隠し部屋か』
新平は女将に刺青人皮を捨てるようにと、それが原因で何人死んだかと叫ぶ。それに対し女将は、野心のない実の父親にそっくりだと吐き捨てるように言った。
((ｶｯ
その直後、どこからか現れた日泥が女将の頭を木製の道具で殴る音が室内に響いた。殴り続ける日泥に新平が震える声で止めるよう言うが、日泥は憎しみの篭った目で新平を見上げながら暴言を吐き、新平は涙を流しながらそれに反論した。
出る機会を失った桜紅がどうしたものかと考えていると、横にいた尾形が先に動いた。
((ﾄﾞｯ
新平に背を向けていた日泥が拳銃を手に振り返った瞬間、尾形の放たれた弾によって頭を撃ち抜かれた。
((ｼﾞｬｷｯ
尾「親殺しってのは……巣立ちのための通過儀礼だぜ。テメェみたいな意気地の無い奴が一番むかつくんだ」
唖然として見上げた新平の目にもう一人、にこやかな顔で手を振る人物が映る。
「ねぇ、君。この家に裁縫道具はあるかい？」
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伊瀬(プロフ) - 176さん» ありがとうございます！二章も引き続き頑張りまっす!! (2019年11月10日 23時) (
レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
176 - 一章お疲れ様でした！二章も楽しみです！作品とっても好きです！頑張って下さい！応援しています！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: b5e0f112ee (このIDを非表示/違反報告)
伊瀬(プロフ) - 、さん» すみませんでした！ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月10日 19時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊瀬 | 作成日時：2019年11月10日 19時
