[伍] 四頁 ページ19
((ベキャッ
『!?』
家「牛山様ッ」
牛「どいてろ、家永」
牛山が鉄格子を外すと、杉元が勢いよく飛び込んできた。
『すぎもっ…ゴホッゴホッ』
呼び止めようと声を出すが、咳がそれを遮る。
((ヒョイッ
『わっ』
後ろから牛山に腰を掴まれ、強制的に外に出された。
牛「そんなんで助けに行っても足手まといだぞ」
『…おっしゃる通りで…』
地に足が着くと、力が抜けて座り込んでしまった桜紅にアシリパが駆け寄る。
ア「具合が悪いか?」
『少し、煙を吸っちゃっただけだよっと…わわっ』
立とうとしたが、どうにも足に力が入らず再び座ってしまう。
ア「チンポ先生」
牛「はいよ。嬢ちゃんは背中に乗りな」
『えっ…ちょ、待て待て…あああッ』
─────
尾「逃げるなら今しか無い!!急げ!!」
杉「行くぞジイさん!!」
外の兵士が身を隠したタイミングを見計らった杉元達は、燃え盛る家から外へと出た。
杉「大勢で行動すれば目立つ。ふた手に別れて逃げよう。月形の樺戸監獄で待ち合わせる。ニセ物の判別方法が見つけられなければ、直接のっぺらぼうに会いに行くしか無いな」
土「娘になら全てを話すだろう」
杉「やはり知ってたのか。あの子が娘だって。俺としちゃ、わずかばかりの分け前があれば金塊で何しようと知ったことじゃねぇが、アシㇼパさんは立派にアイヌを生きている。そのアイヌの金塊を奪った者が本当に自分を育てた父親なのか…俺はあの子が真実にたどり着くのを見届けてあげたい」
道中、兵士に会うことなく町に着くと、土方は馬を三頭(その内の一頭に家永を乗せて)引き連れ、口を開いた。
土「永倉たちを探して合流する。お前たちは先に月形へ向かえ」
牛「こいつらと?」
尾「何の話だ?……それとなんだそのザマは、"掬川"」
些か眉間に皺を作る尾形の視線の先には、牛山に横抱きにされた桜紅の姿があった。
『…不可抗力なんだ、"尾形"。そんな目で見ないでくれ。あと牛山さん、そろそろ降ろしてもらえると助かる』
牛「なんなら、このまま運んでやってもいいぞ」
『とても有難いけど自分で歩くよ』
漸く解放された桜紅はほっと息をついた。
ア「掬川、体調悪かったらすぐに言うんだぞ」
『ありがとう』
杉「バレたらヤバいって考えなかったのか?」
後ろを歩いていると、杉元が小さな声でそう話しかけてきたので、何となく皆と少し距離をとった。前では牛山とアシㇼパが楽しそうに喋っていた。
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伊瀬(プロフ) - 176さん» ありがとうございます!二章も引き続き頑張りまっす!! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
176 - 一章お疲れ様でした!二章も楽しみです!作品とっても好きです!頑張って下さい!応援しています! (2019年11月10日 22時) (レス) id: b5e0f112ee (このIDを非表示/違反報告)
伊瀬(プロフ) - 、さん» すみませんでした!ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月10日 19時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊瀬 | 作成日時:2019年11月10日 19時