[伍] 一頁 ページ16
杉「ジイさん、あんた……見覚えがあるような……どこかで会ったかな?」
剥製屋に入ってきた土方に杉元が銃を抱え直しながら聞く。
白「いや…!!会ったことがあるわけねぇ。こいつは…土方歳三だぞ」
慌てたような声を出す白石の顔は何故か青ざめたように見える。
土方の名前を聞いた瞬間、杉元の雰囲気が変わる。猫はなにかを感じ取ったのか、土方の腕から隣にいた桜紅の方へ飛び移った。慌てて受け止めると、猫は嬉しそうに鳴いた。
土「久しぶりだな?白石由竹。お友達を紹介してくれんのか?」
白「……」
杉「ひょっとして…キロランケの村に来たってのはこのジイさんか?」
キ「…そうだ」
杉「アンタに会ったら聞きたいことがあった。のっぺらぼうは土方歳三だけに伝えた情報があるはずだ。アンタをある程度信用してるのか…大きな目的が一致してるのか。アイヌに武器を持たせて独立戦争を持ちかけられたか?のっぺらぼうは、ほんとにアイヌかな?」
少女の表情が少し固くなる。
土「ほぉ…そこまで辿り着いてたか」
杉「のっぺらぼうも出し抜こうって魂胆かい?アイヌの埋蔵金でもう一度蝦夷共和国でも作るのか?土方歳三さん」
「私の父は……!!」
土「手を組むか、この場で殺し合うか。選べ」
まるで少女の言葉を遮るように土方は腰に携えた刀に手をかける。杉元も反応して銃身を握った。
尾「(「私の父…」? まさか……のっぺらぼうの娘なのか?)」
((グキュルルル
『…?』
永「刺青人皮を持っているなら我々が買い取ろう。一緒に国を憂いてくれとは言わん」
遅れて来た永倉が部屋に入りながら口を開く。
永「刺青を売ったカネで故郷に帰り、嫁さんでももらって静かに暮らせる道もあるが、若いもんにはつまらん道に聞こえるかね?」
杉「のっぺらぼうに会いに行って確かめたいことがある。それまでは金塊が見つかってもらっちゃ困る」
((グルルッコロコロコロッ
牛「会いに行くだって?」
((コロコロ ((コロコロコロコロコロッ ((コロコロッ
杉「なあに?コロコロって」
家「私が何か作りましょうか」
杉「家永生きてた!!」
家「お話の続きは食事の席でされてはいかがでしょうか……」
『家永さん手伝います』
しゃがんで猫を降ろそうとした桜紅だったが、それよりも先に猫は素早い動きで桜紅の屈んだ背に座り込んでしまった。家永はそれを微笑ましそうに見た後「大丈夫ですよ」と言い、奥へと行ってしまった。
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伊瀬(プロフ) - 176さん» ありがとうございます!二章も引き続き頑張りまっす!! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
176 - 一章お疲れ様でした!二章も楽しみです!作品とっても好きです!頑張って下さい!応援しています! (2019年11月10日 22時) (レス) id: b5e0f112ee (このIDを非表示/違反報告)
伊瀬(プロフ) - 、さん» すみませんでした!ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月10日 19時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊瀬 | 作成日時:2019年11月10日 19時