[肆] 九頁 ページ11
尾「つまり、のっぺらぼうは極東ロシアの独立戦争に使うためアイヌの金塊を樺太経由で持ち出そうとして失敗したのが今回の発端なわけか」
牛「ジイさん。あんた、これっぽっちものっぺらぼうを信用してなかったんだな。ということは監獄の外にいるというのっぺらぼうの仲間も…」
土「アイヌに成りすましたパルチザンの可能性が高い 」
牛「面倒なことになってきたな」
尾「脳筋のお前にはややこしい話だろうな」
牛「なんだ喧嘩売ってんのか？いいぜ、掬川をかけて勝負しよう」
尾「あ？」
『いや、私を巻き込まないでください』
面倒になる前に桜紅がこれからどうするかを土方に聞けば、ある情報を伝えられ、牛山と尾形と夕張に向かってくれと言われた。
『(より面倒なことが起きそうな気がする…)』
─────
【数ヶ月前の炭鉱事故】
【病院に運び込まれた妙な入れ墨の炭鉱夫】
【墓地での盗堀】
【町から離れた剥製屋】
『窓から3歩下がって左側…』
((ﾀﾞﾝｯ
望遠鏡で覗いていた人物が後ろに倒れる。斜め後ろに立つ男を振り返れば、そこには満足そうな表情の尾形がいた。
『さすが』
尾「当然だ」
情報を元に桜紅たちが来たのは【江渡貝剥製所】である。坂を下って建物に近づきながら二人は拳銃を取り出す。
尾「月島は長風呂だから、しばらく戻ってこない。ここで何を企んでいるのか、剥製屋に吐かせる余裕はあるだろう」
『万が一、戻ってきたら？例えば忘れ物をしたとかで』
尾「その時は、お前が牛山に知らせに行け」
中に入ると、尾形が部屋の扉を蹴破り奥へと進んでいく。桜紅は別室の扉を開き、驚きで目を見開いた。そこには人間の剥製が何体もあり、内の一体は鶴見を模したような剥製が置かれていた。
『まるで宗教……ん？』
床に二つの布地が落ちている。拾うと、先端には染めたような黒があった。
『…面倒が起こった』
「なるほど……これは厄介だな」
いつの間にか後ろにいた尾形が覗き込むように桜紅の手元を見つめていた。
「これでは鶴見中尉に有利過ぎる」
尾形は再び廊下に出た。桜紅は他に手掛かりがないかと、その部屋を離れた。
「剥製屋の坊やは鶴見中尉にぞっこんらしい。懐柔は難しいかもしれ……しまった……逃げられた」
先程、親子で並んでいた筈の白熊の剥製が一体"いなくなっていた。"
((ｶﾞﾝｯ
『！』
音を聞いた桜紅は一瞬で身を隠した。と同時に、戻ってきた月島が尾形の胴を蹴る瞬間を見た。
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伊瀬(プロフ) - 176さん» ありがとうございます！二章も引き続き頑張りまっす!! (2019年11月10日 23時) (
レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
176 - 一章お疲れ様でした！二章も楽しみです！作品とっても好きです！頑張って下さい！応援しています！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: b5e0f112ee (このIDを非表示/違反報告)
伊瀬(プロフ) - 、さん» すみませんでした！ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月10日 19時) (レス) id: 6b512e48b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊瀬 | 作成日時：2019年11月10日 19時
