命を繋ぐフルートと歌声〜第二楽章〜

全力で〜ワー君サイド〜 ページ26

ワー君「ふー。最近忙しいなー。ま、仕方ないんだけど。」

僕は、開いていたパソコンを閉じて立ち上がった。

ワー君「気分転換しよっと。散歩に行ってくるよ、ドボちゃん。」

ドボ「ぷぎー(いってらっしゃい)」

僕はアルケー社を出て、ぶらぶらと街を歩いていた。

ワー君「といっても、特にする事もないし...」

さっきから知らない人達から声掛けられてばっか。

いつもなら嬉しいと感じるのに、今はただうるさいとしか思わなかった。

ワー君「...よほど疲れてたんだな、僕。」

最近、体が少しだるいと感じる時が多くなっていた。

曲がり角を曲がろうとしたときに、男の人とぶつかった。

疲れていたせいで反射神経が鈍っていた僕は、後ろに倒れそうになった。

が、誰かによって、支えられた。

アリス「ふー危なかった。大丈夫？ワー君。」

ワー君「アリス姉さん！」

そこには、右手にフルートを持った姉さんが立っていた。

ワー君「ありがとう、姉さん。」

アリス「いいってことよ！」

姉さんは満面の笑みでそう言った。

アリス「バイトの帰りだったの。ちょっと、時間いいかしら？」

特にする事もなったのでOKした。

近くの公園のベンチに座った。

ワー君「話したいことでもあるの？」

アリス「ええ、そうね。」

その時、姉さんがいきなり真顔になった。

もしかして、ずっと騙してたこと、怒ってるのかな？

そうだったらまずい。何とか言わなくては...

ワー君「あの、姉さん。騙してて本当にごめん。」

アリス「ぷっ...あははははっ！！」

ワー君「え...何で笑うの？」

アリス「今更それ言う？怒らないわよ、別に。」

ワー君「じゃあ、何で...」

アリス「そっかそっか。ワー君も大人になったなー。」

ワー君「え...」

予想外の答えだった。

アリス「いやね、ワー君が自分で道を開こうとしてるから、大人になったなーって。」

ワー君「姉さんは、怒らないの？僕は姉さん達を騙してたし、僕は姉さん達の敵になるんだし。」

アリス「怒らないの。言ったでしょ。気づいてたからって。あなたがやろうとしてる革命とやらはよく分かんないけど、あなたが間違った事をしたら、私達が全力で止める、いや、止めて見せるから。」

ワー君「止めれるものなら、止めてみなよ。」

アリス「ええ。絶対に止めて、絶対にあなた自身を取り戻す。その時まで待っててね。」

ワー君「うん。」

僕は、久しぶりに心から笑えた。

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