命を繋ぐフルートと歌声〜第一楽章〜

フィガロの結婚〜アリスサイド〜 ページ43

歌苗「全くもう…」

歌苗さん、結構怒ってるな。

ワタル「姉さん、アリスさんには怒らないであげて。アリスさんは僕を守ってくれただけだから。」

ワタルがそういってくれた。

歌苗「アリスさん、あの戦場でワー君を守ってくれてありがとうございます。全然怒ってませんよ。さ、ワー君、お菓子食べて。」

歌苗さんは、微笑んで言った。

アリス「歌苗さん。」

歌苗「はい？」

アリス「私の記憶が蘇って、正体が分かるまで、私はワタルと歌苗さんの義理の姉という設定でいいでしょうか？」

歌苗「……もちろんいいよ！その方がなんか楽しそうだし。お姉ちゃん！」

ワタル「僕もいいと思うよ、アリス姉さん。」

二人とも、笑顔でそういってくれた。

家族が出来たみたいで嬉しかった。

アリス「ありがとう、ワタル、歌苗！」

その時、上から音楽が聞こえてきた。

あの曲は…

モーツァルト作曲『フィガロの結婚』

その曲を聞いていると、何か思い出せそうな気がしてきた。

そう思ったとき、

ワタル「僕、あの人を見送ってくる！」

ワタルがそういって飛び出した。

あの人とは、たぶん、海月さんのことであろう。

歌苗「ワー君！？」

アリス「歌苗、ここはあの子にまかせましょ。」

歌苗「……そうね。」

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