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黒帽子の男 ページ42

その後、私たちは雑貨店などを回った。

荷物は少なく、与謝野は買出しというより、買い物という行為そのものを楽しんでいるようだった。

かくいう私も、何時もとは違う華やかな格好でいたため、半分遊びのように過ごしていた。

ヨコハマを軽やかに歩き、着いたのは。

「あのときの・・・」

そう、私と国木田が出会った百貨店だ。

「オヤ、此処に来たことがあるのかい?」と与謝野。

「はい・・・私にとって、とても大切な場所なんです」

私は暫く感慨に耽った。

そんな私を急かすでもなく、与謝野は黙って私を慈しみの目で見つめていた。

しかし、そんな穏やかな時間は、与謝野の携帯の音によって終わりを告げられる。

「誰だイ、こんなときに」

与謝野が気だるげに電話に出る。

途端、血相が変わった。

「A、悪いね、仕事だ」







状況は最悪だ。

人質にとられた少女、絶対に解除できない爆弾。

俺は薄暗い地下鉄の線路上で、危機に瀕していた。

犯行者はにやにやと薄気味悪い笑みを浮かべている。

かつて俺によって捕まったが、更正しなかった男だ。

もう選択肢は一つしかない。

俺は少女を抱きしめた。

「悪いな、文」








「Aは此処で待ってな」と与謝野は私を地下鉄のホームに残して駆け出した。

私は状況が分からず、その場に突っ立っていた。

すると、背後から「よォ」と声をかけられた。

「はい」と振り返ると、其処には明らかに一般人ではない男が座っていた。

全身黒ずくめの、しかし一つ一つを見ると上質なものだ。

明るい髪色と瞳、しかしその中には堅気には無い鋭さがあった。

私は其の男の異様さに警戒心をあらわにした。

「そんなに怖がんなッて・・・今は停戦協定があンだからよ」

其の男は随分ぶっきらぼうにそう話した。

停戦協定・・・ということは。

「貴方は、ポートマフィアの!」

「オイオイ、声がでけぇって」

男はしぃっと唇に人差し指をあてた。

そして立ち上がる。

男性にしては小柄だな、と思った。

「俺はこれから様子を見てくる」

「なっ・・・」

「心配しなくても、何もしねぇよ。ただ見物するだけだ」

男は後ろを振り返ることなくひらひらと手を振り、そのまま与謝野が向かった方へ歩いていった。


ーーーーーー
都合上、原作と違う部分があります。

ご了承ください。

私は彼の→←其々の過ごし方



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» ありがとうございます。結婚かぁ…(遠い目 (2018年9月8日 23時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 早く結婚しろやァァァァ!国木田さん尊い… (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 乱歩さん回でした。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - あっはぁ・・・!!乱歩さんが!活躍して!嬉しいです! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - 紅羽さん» シュンとする社長に肩ポンする春野さん…ってところまで想像してもらえれば。 (2018年7月30日 6時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:グーフィー | 作成日時:2018年6月18日 16時

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