【文スト】私の理想【国木田独歩】

彼の矜持 ページ25

アニメ９話のネタバレあります。
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与謝野と敦が出先でポートマフィアの襲撃に遭った。

そして、今医務室のベットで眠っているのが、構成員の少女だ。

敦によると、名は鏡花というらしい。

まだ幼さが残る可愛らしい少女だった。

目覚めた鏡花を国木田は尋問しようとしたが、何故か出掛けてしまった。

因みに、現在は政府要人の護衛の依頼が入っており、なかなかに忙しい。

事務員もいつもより増員され、皆黙々と作業している。






国木田は、敦と鏡花より先に帰ってきた。

数刻後。

「敦君が攫われました」谷崎が云った。

「小僧が？よりによって今か・・・」と国木田は眉を顰めた。

谷崎が詳細を説明していると、乱歩が横槍を入れてきた。

「敦君は探偵社の一員で…」という谷崎を遮り、国木田は「俺たちが動くのは筋が違う」と云った。

ナオミが苛立ったように立ち上がる。

私は、この男が云っていることが理解できなかった。

「国木田さん、それは違うと思います」

「何だ、何か小僧を救う理由でもあるのか」

初めて、国木田を憎いと思った。

「貴方は、大切な仲間を見捨てるんですか。

それが貴方の理想なんですか！

それなら私は失望しました。

理想なんて、大したことないんですね」

こんなにきつい言葉が出てくるなんて思わなかった。

自分の口から出た棘が、国木田、そして私に刺さり、傷をつくった。

誰もかも、乱歩でさえ黙ってしまったところで、ナオミが戻ってきた。

「この方をお呼びしました」

社員が驚愕する。

福沢諭吉社長だ。

「全員聞け。無事連れ戻すまで、現業務は凍結とする」

さらに社長は、尚も駄々を捏ねる乱歩を説き伏せた。

流石、の一言に尽きる。

「国木田、3時間で連れ戻せ」

彼はそう云って社長室に戻った。





その後緊急会議が開かれた。

結果、国木田が現場に向かうこととなった。

急いで社を出ようとする国木田に、思わず声を掛けた。

「あのっ！」

国木田は振り返らずに立ち止まった。

「無事に、帰ってきてくださいね」

「・・・ああ」

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