L O V E . ＃ 2

What's going on 4 ? ページ38

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｢………っ！｣
(ヤバい、完全にハマってる)



無意識に頭をぐしゃぐしゃに掻き乱して
足を止めてしまった私。


そんな私を後ろで観察しながら
様子を伺っていたらしい彼は、



｢ナナさぁ、｣


｢…何よ？｣


｢お前、しばらく見ない内に｣



俺の知らない所で
色気ある女になってんじゃねぇよ、バーカ！


なんて肩に手を置いて
ふっ、と嫌味に笑ってから
私の後頭部を軽くぺちん、と叩いた。



｢はぁ…？｣
(え、ちょっと待って、どういう事？)



じんじんする鈍い痛みが後頭部に残るなかで、
彼の言った台詞の意味が分からずに
首を傾げてしまった私に、



｢いつまで突っ立ってんだよ、｣


｢仕事終わんねぇだろ？｣



くるっ、と素早く振り返り
呆れた表情を見せた隼人。


聞きたい事は沢山あったのに、
有無を言わせない口調が
私を急かしてくるから…



｢あ、ちょっ、待ってよ！｣
(何が基準で出た台詞なんだろう…)



スタスタと大きな歩幅で先を進んでいく隼人に
付いていくのに精一杯で、
その言葉の真意を聞く事は出来なかった。


だけど、
その言葉をすんなり聞き流せる筈も無くて
私の頭は尚更に混乱した。


だって、初めてだった…
色気がある、なんて台詞。



｢……………。｣
(今更、惑わさないでよ)




終業の時間となり、
続々と仕事を片付けた社員さんが
慌ただしく帰宅する姿に目もくれず
私は目の前の膨大な書類と
パソコンに向き合いながら
適当に返事を返していた。



｢お疲れ様でした〜！｣


｢はいはい、お疲れさま…｣


｢ああ、もう…｣
(こんな日に残業なんて最悪！)



隼人の言った通り、案の定仕事が山積みで
目の前に積み上がった書類の山にげっそりして
思わず溜め息が漏れた。


今日だけは、
残業になる訳にはいかなかったのに…


どうして私はこんなに運が無いんだろう。
ふと、スマホ取り出して
無意識に開いたLINEの画面。



｢気にしすぎ、かな｣



何時かすら書かれていない
LINEのメッセージ一つに
こんなに振り回されている自分に
思わず苦笑いで溢した独り言。
すると、突然背後から…



｢ふぅん｣


｢コンビニで待ってる、ねぇ…｣


｢…げっ！｣
(見られた)



私の後ろからじーっとスマホの画面を
覗き込んだ隼人は一人納得したように頷くと
隣にあったキャスター付きの椅子を
引っ張ってきて座るなり、
にやりと口の端を上げて言った。




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