L O V E . ＃ 2

Can't wait 4. ページ19

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｢……………っ！｣
(悔しいけど、当たってるから言い返せへんやん)



またもや剛速球のストレートを投げつけられ、
もはやデッドボールかと思うほど
疲労を感じてげっそりした表情で
彼女から顔を背けた。


すると、彼女は予想が的中したと悟り
満足そうに頷くと
ようやく姿勢を正して椅子に座り直した。


そして何故か、
腕を組んで遠い目をしながら呟いた台詞。



｢へぇ、壱馬さんでも苦戦する事あるんですね…｣


｢なんか、意外だなぁ…｣


｢ふはっ、そりゃ、あるやろ…！｣
(俺は一体、どんな風に見えてんのや)



確かに、今までの恋愛は
簡単だった方だと思う。


だけど、それって改めて思い返すと
今まで自分から告白して付き合った事は
殆ど無いような気がした。


つまり、俺は
今までここまで本気で惚れこんで
恋愛にぶつかった事が無いって事か…


文句の一つでも言ってやろうかと
意気込んでみたものの、
逆にそんな事を自分自身に気付かされて
言葉を失った。


行き場を失った感情を抑え、
渋々乱暴に椅子に座り直した俺は、
はぁー、と今日何度目か分からない
溜め息と共に、頭を掻き乱した



｢…壱馬さん？｣


｢ああ、ごめん…｣



俺の意味不明な行動を目にした彼女は
きょとんとした表情をしていた。


だけど、もう俺は彼女の投げるボールに
立ち向かえる力も残されていない。


ぐったりした表情で謝った後、
残された気力を振り絞った俺は
まだ誰にも言ってない本音を
彼女にだけ漏らした。



｢ここまで誰かを好きになったのって｣


｢初めてなんよ、俺…｣


｢だから、まぁ、色々、戸惑ってるってとこかな｣



俺が苦笑いでぽつり、とそう言えば、
彼女はただ優しく微笑み頷くだけで
特に何も言わなかった。


てっきり、また質問攻めに合うかと覚悟して
肩を強張らせていただけに
少し拍子抜けしてしまったものの


ひとまず今の俺にはそれが有難かった。
少しの沈黙が流れた後、
彼女は小さく肩を震わせながら
あはは！と声を出して笑うと、



｢壱馬さん、顔真っ赤になってますよ、あはは…！｣


｢ちょお、そんな笑わんとってや！｣
(ああ、めっちゃ恥ずかしいわ、最悪や)



照れくさくてそう叫べば、
しばらく笑って満足したのか
急にケロッとした顔をした彼女は、



｢あ、もう、そろそろ行かないと…｣


｢ああ、そうなん？｣



とか言ってそそくさと立ち上がった。
つられて反動的に立ち上がった俺と並んで
控え室のドアまで歩く。




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