L O V E . ＃ 2

Can't wait 5. ページ20

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そうしてドアのノブに手をかけた彼女は、
嬉しそうに笑って最後に言った。



｢壱馬さん、片想い実ると良いですね！｣


｢あ、恋愛相談なら、いつでもどうぞ？｣


｢あはは、やかましいわ！｣



最後の最後にまた嫌味な笑みを溢した彼女は
そのまま颯爽と出て行った。


悔しいけど、何だかんだ言っても
いずれ相談する可能性も捨てきれない俺は
あえて強く否定せずに彼女を見送った。


訪問者の居なくなった部屋は
がらんと静まり返ってしまって、
少しだけ物足りなさを感じた。


また一人になってしまった俺は、
再び椅子に座り直して
スマホと睨めっこをして考え込む。



｢…………っ、｣
(たかが、LINEの文面一つに…)



何をいつまで躊躇ってんねん、と
頭の中、自分に言い聞かせて
いよいよスマホを手に取った。


そうして、また文章を練り直す。
別に、何も知らないなら知らないで仕方ない。


今さらそんな事を言ったって
どうなるものでもないし、
知らないならこれから知ればいい。
少しだけ前向きに、そう考えなおした。



｢これで、ええやろ｣



誰に向けてか分からない独り言を呟いて、
そのLINE画面を満足げに眺めた。


大したことない、
何てことのない文章やったけど
まずはこれで良いやろ、と
納得して送信ボタンに手をかける。



｢……うわ、ヤッバ｣
(ほんまに送ってしまった)



自分から送っておいて
その反応はどうかと、思いながらも
あれだけ悩んでいたくせに
意外とすんなり送ってしまった事に
いまさら焦る。


とっさにスマホをテーブルに投げ置いて、
頭を抱えて目を閉じた。


そして、恐る恐る目を開くと
もう一度スマホを眺めては、にやつく口元。



｢……………。｣
(どんな返事するんやろ)



さっき送ったばかりやのに、
もう返事が来ることを想像してにやつくなんて
俺、まるで中学生みたいやな


自分自身に呆れて思わず、苦笑いを溢す。
さっきから、どうも
感情のコントロールがうまくいかない。


きっと仕事中の彼女は、
今ごろLINEを見て驚いているかもしれない。


そんな姿を想像して、
俺は今日初めて
にやりとお得意の笑みを溢したんだ。



｢………………。｣
(返事、楽しみやな)







L O V E.

Story 16 Can't wait.





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