L O V E . ＃ 2

I can't breath 5. ページ14

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｢なぁ、連絡先、教えてや｣


｢"お姉さん"｣


｢え！？｣
(嘘でしょ…)



お姉さんだなんて思ってもない癖に、
意地悪く笑う自信に満ちた表情は
確実に私の気持ちを揺さぶる為だと感じた。


頭ではそう分かっているのに、
何も言い返せない。


それどころか連絡先を聞かれて、
何故か口元が緩んでしまった事に
慌てて平静を装った。



｢………っ、｣


｢別に良いけど｣



余りにも可愛いげの無い言い方だったけれど、
ズボンのポケットに入っていたスマホを
ゆっくり取り出した私に対して、



｢貸して｣


｢あ、ちょっ…！？｣



素早く私の手元からスマホを抜き取った彼は
慣れた手付きで素早く登録していく。


仕方なく黙って様子を見守っていると、
今度は羽織っていたパーカーから
自分のスマホを取り出し登録し始める彼。


淡々と連絡先を入力を続ける彼は、
やけに楽しそうに見えて
また無駄に鼓動が高鳴る。



｢…………。｣
(何を期待してるの、私)



少しずついびつな関係が変わりつつある事に
また淡い期待を抱きそうになる
単純な思考回路に慌てて首を振った。



｢出来たで、ほら…｣


｢あ、ありがと｣



手渡されたスマホの画面に
しっかり登録された彼の名前と
連絡先を見せられ、
照れ臭くなり、私はそそくさとスマホを閉じた。
無意識にまた口が緩みそうになって、



｢あのっ、じゃあ…｣


｢もう部屋もど｣


｢ちょっ、何！？｣



慌てて鍵を開けてドアに手をかけたその時、
素早く彼が私の肩に手を置いて
耳元に顔を近付けて…



｢また連絡する｣


｢じゃあ、またな｣


｢ナナ｣


｢……っ！｣
(また、この手口…！)



わざとらしく今度は名前を呼んで、
ファンが聞いたら卒倒するような甘い台詞を
さらりと言ってのけた彼は
そのままパッと肩から手を放して踵を返した。



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