L O V E . ＃ 2

I can't breath 4. ページ13

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"壱馬、大好き"



そう書かれていた
強烈なメッセージボードを見て
彼が不思議に思うのは当たり前だ。


あれだけ憎まれ口叩いて、
彼のグループについての知識も無かった私が
いきなり収録に現れただけでなく、
あんなメッセージを掲げていたんだから…


だけど、
出来るなら触れないで欲しかった過去だ。



｢あれは、その、会社の後輩に持たされたの…｣


｢……持たされた？｣


｢あなたの大ファンだから、私の後輩…｣



少しだけ後輩が好きだと言う部分だけを
やけに強調するように言い訳して、
恥ずかしくて動揺するのを必死に隠した。


自分で言った台詞にも関わらず
バカらしくて苦笑いで髪を掻き上げれば
続けて重い溜め息が漏れた。


バレていたなら隠していても仕方ない。
そう思って告げた事実に
彼は黙り込み私を見据えたままで



｢…………。｣
(どうして何も言わないの…？)



ただじっと私を見つめる視線に
耐えられなくなり顔を背ければ…



｢やっぱり、な｣


｢何か変やと思ってたわ…｣


｢あ…｣



謎が解けたのか、
俯き加減でぽつりとそう呟いた彼は
うっすらと嫌みな笑いを浮かべてきた。


ああ、この表情にはつくづく弱いのに…


悪戯な笑みで
私の心に平気な顔で入ってきて
平然とそこに居座るんだ。


また嫌みな台詞が飛ぶに違いない、
そう覚悟して拳に力を込めた。



｢……………。｣
(本当に綺麗な顔立ちしてるよね)



悔しいけど、
憎たらしい嫌みなその表情ですら
彼の魅力を引き立たせる一つである事を
実感して一人見惚れた。


すると、彼は意外にもふっ、と笑みを溢すと
口角を上げながら軽快に話始めた。



｢新手の嫌がらせか何かやと思ってたけど…｣


｢違うなら別にええわ｣


｢…あ、そう｣


｢なら、良かった｣



何だ、てっきりまた
紛らわしい事すんなよ！
とか、言って怒鳴るかと思ってたのに…


心の準備をしていた分、
余りにも軽く流された事に脱力する。


でも、確かに嫌がらせでした事でも無いし
変に誤解されなくて良かった。


さて話も済んだならもう部屋に戻ろう。
そう考えて、
ドアに手をかけた私に対して…



｢いや、何、勝手に戻ろうとしてんの｣


｢話、まだ終わってへんやろ｣



またがっしり腕を掴んだ彼は
じろり、と強い視線で
私を見下ろすように見ていた。



｢え、でも…｣
(さっきの感じだと)



無事に解決したはず…



そう思って見上げた先、
力いっぱい私を引き寄せた彼は
至近距離で口の端を上げると
にやりと笑って言ったんだ



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