S M I L E : )

Declation of War . 3 ページ29

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｢話って、何ですか？｣



場所を変えて、
ようやくテレビ局の屋上に到着。


フェンス越しに辺りの景色を
ぼんやり眺めながら
ずっと俺の後ろを黙って付いてきていた
岩さんに体を向ければ、
岩さんはぐっと拳に力を入れて
正面の俺をしっかり見据えて言った。



『いや、別にそんな改まった話でも無いよ…』


『俺はね、北ちゃんにナナは渡さないって』


『ただ、それだけ言いに来ただけだから…』


「渡さないって、そんな…｣


「ナナを物みたいに言わなくても…｣



いつものほんわかした笑顔の岩さんの姿はなく
鋭く俺を捕らえるような目付きをする。


そんな岩さんから目を逸らさずに
そう言い返すのが精一杯だった。


ナナが自分の彼女だったら、
いや欲は言わないから
少しでも俺に好意があると分かっていたら
もっと強く言えるのに…


俺はいつから
こんなに恋愛に臆病になったんだろう…



『ははっ、まぁ、それもそうなんだけどさ…』


『でも俺、北ちゃんには負けないよ！』


『じゃあ、俺そろそろ出番あるから、またね』


「ちょっ、岩さん…！｣
(言い逃げとかズルくないっすか？)



言いたい事だけ言って満足したのか
岩さんはそんな台詞を残すと
足早に屋上から去っていった。


その素早いやり取りに取り残され
一人ぽかんとする間抜けな自分の姿に、



｢ああっ、もう何だよ…｣
(訳分かんないし)



せっかくセットしてもらった髪もお構い無しに
ぼっさぼさに掻き乱してしまった。


そうして、地面にどかっと座り込むと
空を見上げながら悪態を吐く。



『俺だって、岩さんには負けませんから！』



そうびしっと岩さんに言えたら
少しはスッキリしたに違いない。
だけど、現実は厳しい状況で___


悔しいけど、
そこまで言い切れるほど
まだ俺はナナの事を知らないんだ。



｢……はぁ、｣
(俺、めちゃくちゃ情けない奴みたい)



俯いて地面をぼんやり見つめながら
徐にポケットに手を伸ばす。


何となく取り出したスマホを操作して
表示するのはナナの番号。


相変わらず俺のスマホは
ちっとも鳴る気配すらなくて、
こんな小さな電子機器にすら
いちいち気持ちを揺さぶられる事が
やけに腹立たしくて仕方なかった。



｢あー、俺って、マジで馬鹿…｣
(だったら自分で連絡すれば済む話なのに)





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