＿＿Secretive. (秘密主義者) #1 / drm

始 ま り は 軽 率 に / Y O U ページ4

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『えっ？ああ、そういうこと…』



『ははっ！ちゃいますよ、配達はもうバッチリっす！
てか、ほんまに何時も何の問題も無いんで…』




なんて感じで、笑いのけながら否定した男性に
少しホッとしたのも束の間___



そうなると、他に何らかのトラブルなり
不備があったかもしれないって事で…




「えっ？じゃあ、他に何か不備があったって事ですよね？」



「大変申し訳ありませんでした！」




まだロクに呼び止められた理由も聞いてないものの
ひとまず、慌てて頭を下げて謝ることにした。


こうやってキチンと誠意を見せておかないと後々、
私の配達員としての評価が下がることになる。
それだけは避けたかったから、
私なりにきっちり謝罪したつもりだったんだけど…



私のその行動を見た男性は、何故かキョトンとして
目を丸くするなり、少し首を傾げると




『えっと、あれ？』



『何か、話噛み合ってない気するな…』




そう言って、また少し苦笑いを浮かべた。
うーん、と首を傾げたまま唸っている男性の様子に
いまいち状況が理解しきれていない私。
微妙な空気に包まれていくマンションのエントランス内で
静かに時間だけが流れていく。



もしかしたら何か思い違いをしてたのかもしれない。
何となくそう思い直して、




「えっ、いや、今回の配達に不満があったとかの話では…？」




恐る恐るながらも、やんわりとそう再確認すれば
途端に、口角を上げるとにっこり笑ったその男性。




『んー、全く無いっすね、はい』



『てか、マジで俺、お姉さんが担当の時に不満とか
そういうの感じたこと一回も無いんで！』



「え、じゃあ、何かまた別にトラブルがあったとか…？」




とりあえず私の配達は特に問題無かったようで一安心。
となると、今回はまた別のトラブルだろうか？
お店の商品に入れ間違えがあったとか、そっちかな？
なんて勝手にまたそう思って問いかけてみれば、




『…ん、ん？何なに、どういう事っすか？』




またまた、どうにも噛み合わない。
再びキョトンとしている目の前の銀髪の彼。
よく見れば耳にピアスが沢山空いている。



パッと見た感じは怖そう、チャラそう。
だけど、一度口を開けばその物腰は優しいというか、
どこか柔らかくて、穏やかな口調。



話しやすい空気を作るのが上手なんだろう。
先程よりは幾分か砕けた話し方になった彼と私。
とりあえず彼の呼び止めた理由が知りたくて、





「いや、何か他にトラブルがあったのかなって、思って…」




もう一度、そう言って
確認してみれば…






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