＿＿Secretive. (秘密主義者) #1 / drm

似 て 非 な る 物 / Y O U ページ28

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『俺が猫！？いいや？そんなん1回も言われたことないね』



「えー、そう？何か意外。だるくん、めっちゃ猫っぽいのに」



『じゃあ、ナナから見た俺はそう見えてるって事？
だとしたら、かなり俺のイメージバグってんね？んははっ！』



「んー、それは無い。絶対だるくんはネコ科動物！」



『あー、なるほどね？ようやく理解した！
つまり俺が凄すぎて人類飛び越えちゃったって事か！』



「ねぇ、だから違うって。そういうことじゃない！あはは！」



『あはははっ…！』




二人きりの深夜のコンビニで他にお客さんが居ないからと
レジカウンター間に挟みながらこうして淡々と会話してても
やっぱり何処かに見えない壁があると思ってしまうのは
私の気のせいじゃないと思う…



このレジカウンター越しのだるくんと私の微妙な距離が
まさに今の2人の関係を表してるようで
この近くて遠い壁が何時か消えてなくなれば良いな、なんて
そう頭の中でぼんやりと思っていた。




「ねぇ、さっきから笑いすぎてお腹痛いって、ふはは！」



『いや、そんなん俺もやって。もう笑わせんとってや！』



「いや、待ってよ。私、絶対悪くないやんな？
だるくんがめっちゃ笑わせてくるから悪いんやろー？」




永遠に途切れない会話と笑いすぎの副作用で
喉は痛いし、腹筋も久しぶりに痛くなってきて
それを私が突っ込んでみれば、




『……え、あれ？嘘やろ？えっ？』




不意に、キョトンとして瞬きが多くなるだるくん。
しかもボソボソと小さな声で




『えっ、マジ？そんな事ある？』




とか、




『いや、また別んとこの方言って事もあるか…？』




とか、ぶつぶつ独り言のように呟いては
うーん、とか唸りながら首を傾げるだるくんの姿。
もう独り言の範疇はとっくに超えていたから、




「えっ、何？私なんか変なこと言った？」




だるくんが話し相手だと会話のテンポが良すぎるから
もしかしたら勢い任せに喋りすぎて
知らない間に何か変なこと口走ってたりしたとか？



なんて、さっきの会話をぼんやりと振り返りながら
記憶を掘り起こしてみたものの…
特に目立って変なことは言ってなかったよなぁ、と
直ぐにそんな解釈にたどり着いた。



だけど、




『なぁ、ナナってさ、もしかしてやけど三重の人？』



「えっ、うん。でも何でだるくんがそれ知ってんの？
私、もうその話してたっけ？」



『ふはっ、いーや、初耳よ。うわ、マジかぁ！』




何故かだるくんに出身がバレてしまった。







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