＿＿Secretive. (秘密主義者) #1 / drm

例 え ば の 話 / Y O U ページ12

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「あれ、無い？嘘、どこ行ったんだろ…」



『ん、どうしたん？何か捜してる？』



「いや、さっき驚きすぎたせいでファイル落としちゃって…」



『あー、そういや、さっき盛大に何か落としてたな、ははっ！』



「ふはっ、ちょ、やめて、恥ずかしいから忘れてください！」



『いや、あの驚き様は忘れられんでしょ、さすがに』



「まぁ、確かに。それはそう、なんですけど…」
(だってまさか本当に来てくれると思って無かったから)




レジカウンターの床をキョロキョロしながら
会話を交わしつつ一通りの場所を探してみたものの
その辺りにお目当てのファイルは見当たらず…



おかしいな、と思いながら一旦視線を戻して
今度は店内の床に視線を移していく＿＿




「あれ、明日からお店で配るやつなんですよ」



『あー、良くオマケとか言って付いてくるあの感じのやつね？』



「ふはっ、そうですね、その感じのやつです」




なんて、笑いながらふざけた会話を続けていると
思い出したように彼が口を開いて…




『あっ、そういや、さっきこっち側飛んでったような気するわ』



『ちょっと待っててな、俺も探してくる』



「えっ、そんな、私が拾うんで良いですよ！」




思い当たる節があったのか早口でそう言うなり
スタスタと足早に店内を歩いていく彼にびっくりして
私が咄嗟に声をかけて制止したところで、




『おっ、何かあそこにあるやん、あれがそうか…？』



「あ、ありました？」



『ん？ああ、なんかそれっぽい感じのが此処に、って…』




どうやらレジカウンターを飛び越え、
店内にあっという間に勢い良く吹き飛んでいたらしく
それを先に発見した彼が体を屈めて拾おうとしていたので、




「待って、本当にそれ、私の仕事なんで私がやります！」




と、慌ててそう言いながらレジカウンターを抜けて
彼のしゃがみこんだ場所まで駆け寄っていくと。
何故かそこには、苦笑いを浮かべながら顔を真っ赤にして
その場から動けなくなった様子の彼の姿。




「あの、すいません。どうかしましたか…？」



『へぁ！？びっ…くりしたぁ…マジでビビった…！』



「あっ、ごめんなさい。固まってたから、つい…」




放心状態だったから肩をぽん、と
軽く叩いただけのつもりだったんだけど
あまりにも大袈裟なくらいの驚きように、
ほんの少しだけ申し訳無くなった。



どうやら、放心状態だった彼には
刺激がありすぎたらしい。
彼はあまりビビり耐性が無いのかもしれない。







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