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I'm yours. ページ19

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【 団栗の背比(せいくら)べ 】
どれもこれも似たり寄ったりで、
特にすぐれたもののないことのたとえ。






『ありがとうございました〜！』



『…………。』
「…………。」



あれから結局、
店員さんにひやかされっぱなしで
じっくりと買い物も出来ずに
ただ焦ってばかりの慎と
その光景をただ傍観していた私。


そんな二人の摩可不思議なショッピングは
ようやく終わりを告げた。



『また来いよ、慎！』



なんて、にやつきながら背中を押されて
仲良さげな店員さんに店を送り出された慎は
私の手を繋いだままゆっくりと振り返って
その店員さんを一瞥するなり、



『あー、もう、マジ最悪…』


『しばらく来るのやめよ』



なんて、ぽつりと呟くと
げっそりした表情で苦笑いを浮かべていた。


そこから、私の腕を引っ張りながら
そそくさと店から離れると
しばらくしてぴたっ、と慎が足を止めた。


少し早足だったせいでお互い息が上がる。
そんな時、繋いでいた手を
突然ぎゅっと強く握りしめた慎は
何か言いたそうに一人、顔を歪めていて…



「……慎？｣


『あー、ごめん…』



私の問いかけで我に返ったのか、
溜め息混じりにそう言って
がしがしと頭を掻き乱した慎は
そのまま手で顔を隠すようにして覆うと、



『なんか、駄目だ、俺…』


「えっ、何が…？｣



独り言なのかどうなのか、
よく分からない台詞を呟いて
また大きな溜め息を溢した慎。


そのままずるずると脱力して
しゃがみこむように地面に屈んだ慎は、
少し赤い顔をしたまま
私の手を更にぎゅっと握って言った。



『あのさ、俺…』


『さっきの返事、まだ聞いてないんだけど』


「返事…？｣
(何の事だろう)



慎は少し遠い目をして、
私とは顔を合わすこと無く
小さな不満を口にした。


すると、今度はゆっくりと立ちあがると
強い眼差しで私を射抜くように見る。


だけど、
思い当たる節が見当たらない。



私、慎に何を聞かれてたんだっけ？



と、ぼんやり今日あった事を思い返して
首を傾げた私に…



『さっき、カフェで言ってたじゃん』


『なんか、好きな奴が居るとか…』


「…ああ、｣
(すっかり忘れてた)



まさか、ここにきて
今更そんな話が出てくるとは思わなくて
開いた口が塞がらない状態になってしまった。


デザートの事で言い合いになったから
そのまま流れてしまった話だと思っていたのに
どうやら慎の中では消化不良だったようで、




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