S P A R K L I N G !

I'm yours. 2 ページ20

.






『で、ナナの好きな奴って…』


『結局、誰？』



と、まるで問い詰めるように
じりじりと距離を詰めてそう言った。



「どうして、そんな気にするの？｣


「別に、誰だって良いでしょ…｣



だって、言えないよ。
その好きな相手は今、目の前に居る。



どう考えたって、
勝算の無い無謀な賭けだ。
ここで告白なんか出来る筈ない。


そう思って、曖昧に言葉を濁して答えた。
だけど、もちろんそんな答えに
慎が納得してくれる筈も無かった。



『いや、全然、良くないし…』


『言っとくけど、』


『今日は、それ聞くまで帰さないから』



次第にイライラしてきたのか
ほんの少し口調が乱暴になってきた慎は
ムッとした表情を浮かべたまま
じーっと私の顔を覗き込むと
空いていたもう片方の手で私の頬を軽く抓った



「ちょっと、痛いってば…｣


「ていうか、そんなの卑怯！｣



ああ、皆さん。
これが”国民の妹”の本当の姿です。



そう言いたいくらい、無様な格好だった。
きゅっと抓られたままの頬はじんわり痛くて
思わず、顔を顰めた私の表情は
きっとひどいものだったに違いない。


だけど、ここで引き下がって
白状する訳にもいかない私は必死に反論して
そう心の内を叫んだ。


すると、それを黙って聞いていた慎は
次の瞬間、勢い任せに私の腕を引き寄せた。



｢…わっ！｣
(嘘でしょ)



それはあまりに急な出来事で、
瞬きする暇も無い程だった。


ぎゅっと背中に回された腕の力は強く、
私の肩に顔を埋めた慎からは
微かな息遣いが聞こえてくる。


そんな初めての感覚に戸惑って、
思わず反射的に体を退けようとすれば
ますます背中に回された腕の力が
そうはさせないと訴えるかのように強くなった



「まこっちゃん？｣



恐る恐る名前を呼んで、
そっと彼の背中に触れてみる。



『いい加減、俺も限界だから言うけどさ…』



その声に反応して口を開いた慎は
何故か少し怒り気味というか呆れ気味で…


まさかそんな表情から
次の台詞に繋がるとは予測も出来なかった。



『俺、本当はずっと、ナナが好きだった』


『結構、頑張ってアピールしてたんだけど』


『ナナ、全然気付かないし…』


「えっ、嘘でしょ…！？｣



天と地がひっくり返りそうなくらいの
あまりの衝撃的展開に
思わずムードもぶち壊しの台詞を口にした。


すると、慎は
更に呆れた表情を浮かべて…



『いや、ホント鈍すぎ…』



と、私の額におでこを重ね合わせながら
苦笑いでそう言った慎は
そのまま続けて今までの事を語り始めた。



.

I'm yours. 3→←I'm yours.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す