Decision . ページ45
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歩道橋で出会った楓士雄と別れ、
ようやくたどり着いた病院で俺が見たもの。
それは、Aの病室で
黒い学ランの男が小田島と対峙し
一触即発になっている場面だった。
「…A、もういい加減寝ろ」
「俺がずっと此処に居るから、心配すんな」
『うん、分かった…』
ひとまず最悪の事態は
免れたから良かったものの…
なかなか寝付けずにいたAの頭に
そっ、と手を置いて微笑んでみせれば
漸くその瞼が閉じられ、Aが眠りに就いた。
「…………。」
(やっと寝たか)
その姿を見届けた俺が安堵すると共に
思い返すのは、ついさっき
自分が仕出かした愚かな行為だった。
Aが病室で何者かに襲われたその夜。
傍に居て、とすがるように懇願されれば
それを拒む理由は何一つ無くて、
それどころかAの気持ちを無視し
昂った感情そのままにその唇を奪った。
「……最低だな、俺は」
(無意識に体が動いてた)
ひどく泣き疲れたAの手をそっ、と握りしめ
スヤスヤと眠るAの寝顔を隣に座って見届けた。
そして、俺は静かにそう呟くと
一人そっと溜め息を溢した。
「……………。」
(何で何時も、俺が居ない時に限って…)
たまたま帰宅していた小田島が
其処に居合わせたから良かったものの、
あと一歩、少しでもタイミングが悪ければ…
そんな最悪の事態は、
想像するのも恐ろしいほどで
実際に襲われかけたAの事を思うと
あれだけ不安を滲ませ恐怖に震えるのも当然で…
傍に居て、と必死にせがむのも無理はない。
安心しきった寝顔を見せるAを見て
俺はその泣き腫らした涙の痕跡を辿るように
ゆっくりと手を伸ばし、
涙の跡をそっと指でなぞった。
「…………。」
(Aを襲った奴、覚悟しろよ)
絶対、ただじゃ済まさねぇぞ。
Aの仇は必ず俺が取ってみせる。
そう頭の中で固く誓いを立てると
膝の上、拳をきつく握りしめた。
すると、
『佐智雄、まだ起きてるか…？』
病室の外、扉の向こう側からノックと共に
聞こえてきたのは小田島の声。
「ああ、起きてるよ…」
そう返せば、小田島はゆっくりと音を立てずに
少しだけ扉を開き、そこから顔を覗かせた。
その服はさっき顔を合わせた時と変わっておらず
あの騒ぎの後、どうやら自宅に戻らず
ずっと近くで様子を伺って居た事を思わせた。
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やよい(プロフ) - あゆさん» あゆさん→コメントありがとうございます。あと少しで最終話にたどり着く予定なのでもうしばらくお待ちください(^-^)楽しみにしてくださって本当にありがとうございます！ (2020年1月2日 23時) (
レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 続きが気になります (2020年1月2日 22時) (レス) id: 1e4a476949 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 聖菜さん» コメント下さってありがとうございます！佐智雄メインが探しても無くて作ってしまいました、笑。この先まだまだ長くなりそうですが頑張りますね☆ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
聖菜(プロフ) - 凄く感動しました！続きが気になりますが無理せず更新頑張って下さい (2019年12月21日 9時) (レス) id: c9df35a019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2019年12月17日 22時
