Protect. ページ5
この人物は、上田佐智雄。
簡単には言い表せないけれど
シンプルな表現で言うならば
所謂 "元彼"
と、いった所___
ただ、"元彼" と言っても
恋人として二人で過ごしたのは
この春から数えて
ほんの半年足らずしかない。
つまりは、ほぼ名ばかりの "元彼" なのだ。
就職して働き始めた職場にも
ようやくなれてきた秋頃、
付き合って初めての冬を待たずして
私は佐智雄に少し距離を置きたい、と
事実上の別れを切り出された訳で……
私は距離を置くのが嫌で
そんな中途半端な事をする位なら
いっその事、と
佐智雄への連絡手段を
全て断ち切ってしまった。
そして、今、そんな気まずい相手が
まさに私の目の前、
鬼の形相でこちらを覗き込むように
体を掲げながら近付いて、
「え、どうして佐智雄が此処に…？」
『……それはこっちの台詞だ、バカ』
『こんなとこ、お前の来る場所じゃねぇ…』
じっ、とこちらへ強い眼差しを向けつつも
溜め息混じりに
呆れ顔で吐き出された言葉の端々に
どこか優しさと懐かしさを感じて、
胸が私の意思なんか無視して
勝手にドキドキ、と鼓動を早くするんだ。
「わ、私だって、別に…」
好きでこんなとこに、居る訳ないでしょ！？
と、私がぶっきらぼうに言いかけた所で
佐智雄が背後からやってきた殺気に気付いた。
だけど、少し反応が遅れてしまったため
こちらに向かって勢い良く
木の棒を振り下ろそうとする男に対し、
『……っ、A！』
「…え？」
ふっ、と急に視界が暗くなったと同時に
咄嗟に佐智雄が覆い被さる形となり
きつく抱き締めるようにして守ってくれた。
『無視してんじゃねぇぞ、おら！』
「ちょっ、佐智雄！大丈夫？」
『…………。』
バキッ、と音がして
木の棒は真っ二つに折れてしまった。
佐智雄の背中にその棒を振り下ろしたそいつに
無言のまま振り返った佐智雄。
言葉を発して威嚇せずとも伝わる
佐智雄の放つ殺気と鋭い眼孔に、
どうやら完全に
怖じ気付いてしまった様子のその男は
びくびくしながらズボンのポケットに
隠し持っていたナイフを慌ただしく取り出した。
「…さ、佐智雄！」
『…A、お前は下がってろ』
下がってろ、そう言って手で制すようにして
私のことを背中に隠して守る佐智雄に
私は一言「分かった」と頷いて
一歩後退りをした。
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やよい(プロフ) - あゆさん» あゆさん→コメントありがとうございます。あと少しで最終話にたどり着く予定なのでもうしばらくお待ちください(^-^)楽しみにしてくださって本当にありがとうございます！ (2020年1月2日 23時) (
レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 続きが気になります (2020年1月2日 22時) (レス) id: 1e4a476949 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 聖菜さん» コメント下さってありがとうございます！佐智雄メインが探しても無くて作ってしまいました、笑。この先まだまだ長くなりそうですが頑張りますね☆ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
聖菜(プロフ) - 凄く感動しました！続きが気になりますが無理せず更新頑張って下さい (2019年12月21日 9時) (レス) id: c9df35a019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2019年12月17日 22時
