Abduction. ページ30
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「悪ぃ、A…」
「しばらくの間、距離を置いて欲しい」
「理由はまだ、話せねぇ、けど…」
「必ず、迎えに行く、だから…」
俺がAにそう告げた後、
Aは俺の元にピタリと姿を見せなくなり
そこからは、電話も繋がらなければ
LINEすら既読にならなった｡
明らかに俺を避けているAの行動は
あの日俺の言葉にひどく取り乱した姿を
思い返せば明白だった。
『しばらくって、どれくらい…？』
『どれくらい、私は待てば良いの？』
『佐智雄が傍に居ないなんて耐えられないよ…』
「…………。」
(何となく、こうなる気はしてた)
鳴らなくなったスマホを片手に握りしめ、
ぼんやりとその真っ暗な画面を眺めて
諦めに似た溜め息が一つ、溢れた。
けどな、だからって、
俺はAを諦めた訳じゃないし
お前の事をそう簡単に手放せるほど
安易な気持ちで付き合ってた訳じゃねぇ
もう一度、スマホをきつく握りしめ
目を閉じて決意を固くした俺は
溜まり場の道場にしゃがんで
怠そうにスマホを弄っていた小田島に
狙いを定めて声をかけた。
「小田島、お前に頼みがある…」
そう言って小田島の前で立ち尽くした俺に
スマホを弄っていたその手を止めた小田島は
全てお見通しだと言わんばかりに、
『…分かってるって、Aちゃん、だろ？』
そう口にすると、ふっ、と息を吐くように笑った。
そのまま全てを悟った表情をした小田島が
スマホをポケットに突っ込んで
ふらり、と緩く立ち上がったのを見届ける。
「…悪ぃな、こんな事頼んじまって」
仲間にこんな情けない頼みをする自分自身の
不甲斐なさに落胆の色を隠しきれず顔を伏せれば
ぽん、と肩に手を置く小田島が
" もう何も言うな "と、ばかりに首を振った。
『気にすんなぁ、佐智雄にはレッドラムの件…』
『片付けてもらわねぇと、だろ…？』
「…ああ、分かってる」
その為にAを遠ざけた
だから、どんな手使っても出所を探って
ケリ着けてやるよ
じゃなきゃ、俺は一体何のために
こんな事してんのか
その意味すら分からなくなりそうだから
『んじゃ、まぁ、善は急げっつー事で…』
『早速、お姫様の護衛にでも行ってくるかぁ』
そう言って、ふっ、と妖艶な笑みを溢すと
ゆらりゆらり、体を揺らして
独特な歩き方で道場を出ていこうとをする
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やよい(プロフ) - あゆさん» あゆさん→コメントありがとうございます。あと少しで最終話にたどり着く予定なのでもうしばらくお待ちください(^-^)楽しみにしてくださって本当にありがとうございます！ (2020年1月2日 23時) (
レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 続きが気になります (2020年1月2日 22時) (レス) id: 1e4a476949 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 聖菜さん» コメント下さってありがとうございます！佐智雄メインが探しても無くて作ってしまいました、笑。この先まだまだ長くなりそうですが頑張りますね☆ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
聖菜(プロフ) - 凄く感動しました！続きが気になりますが無理せず更新頑張って下さい (2019年12月21日 9時) (レス) id: c9df35a019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2019年12月17日 22時
