Necklace. ページ12
カーテンの隙間をすり抜けて差し込む
朝の日差しに急かされるようにして、
私は目を覚ました。
無機質な壁の色と、寝心地の違うベッド。
だけど何故か何時もより穏やかな気持ちで
朝を迎えられた気がするのは、きっと…
『…じゃあ、また明日な』
去り際に交わしたあの言葉があったからだと思う。
我ながら単純な思考だと思うものの、
それでもやっぱり気持ちに嘘は吐けなくて…
「…あのネックレス、まだ付けてたんだ」
誰に言うでもなく独り言を溢しながら
自分の首元へそっと手を伸ばしてみれば
着ていた服に隠れていた物に指が触れる。
それは、佐智雄がくれたお揃いのネックレス。
打ち寄せる波をイメージしたような
シルバーのそれは、
あまり見掛けない独特なデザインで
強いのにどこか柔らかい物腰の彼に
とても似合っていた。
***
佐智雄お前に話がある
３月の卒業式を終えた夕方。
いきなり佐智雄にLINEでそう呼び出されて
慌てて向かったのは初めて会った歩道橋の上。
「…話って、何？」
鮮やかな夕陽を背にその場に佇む佐智雄に
ゆっくりと近付きながらも、少しの緊張から
微妙な距離を取って佐智雄の前で立ち止まって
そう問いかけた。
『………、』
「……？」
しばらくして、佐智雄はズボンのポケットに
手を突っ込んだまま黙って私を見据えるから
少しの間、私と佐智雄の視線が絡み合った。
どうして佐智雄は、
わざわざこの場所に私を呼んだのかな？
と、理由を考えながら立ち尽くしていれば
真剣な表情で私を見つめたまま佐智雄は、
『A、一度しか言わねぇ…』
『俺は、お前が好きだ』
『だから、俺と付き合え』
どこか自信有り気な表情で淡々と話して
最後には、ふっ、口角を上げて悪戯に笑う。
なんて強引な言い方をするんだろうと、
普通なら思うのかもしれないけれど
何故か凄く佐智雄らしいやり方だなぁ、と
思ってしまって私は素直にそれを受け入れた。
だけど、何となくちょっとやられっぱなしは
気に入らないから意地悪を言ってみたくて、
一歩、また一歩、と空いていた二人の隙間を
埋めるようにゆっくり距離を詰めながら歩いて、
「…ふふっ、それって拒否権無いやつ？」
なんて、笑って言えば…
まさかそんな質問が来るなんて
想定もしてなかったのか
ほんの一瞬、そのポーカーフェイスが崩れた。
そして、少し黙り込んだ後…
.
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やよい(プロフ) - あゆさん» あゆさん→コメントありがとうございます。あと少しで最終話にたどり着く予定なのでもうしばらくお待ちください(^-^)楽しみにしてくださって本当にありがとうございます！ (2020年1月2日 23時) (
レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 続きが気になります (2020年1月2日 22時) (レス) id: 1e4a476949 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 聖菜さん» コメント下さってありがとうございます！佐智雄メインが探しても無くて作ってしまいました、笑。この先まだまだ長くなりそうですが頑張りますね☆ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
聖菜(プロフ) - 凄く感動しました！続きが気になりますが無理せず更新頑張って下さい (2019年12月21日 9時) (レス) id: c9df35a019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2019年12月17日 22時
