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Aの唇はほんのりさっきのケーキの味がして
でもすぐにAが泣いてることに気づいた
俺のことなのに、
なんでそんな自分のことのように悲しむ?
ガキなオレにはよく分からなかったけど
悲しませてる張本人が俺自身だということだけは
よく分かってた
Aの目を見つめると涙のたまった瞳がユラユラ揺れて俺の顔を見つめてた、ほんの数秒。
その瞬間Aが俺の胸板を力一杯押して
すぐに怯えた表情に変わった
しずかにAは涙をぬぐってしばらく黙り込んでる
行き場のない感情が渋滞しすぎて、
「抵抗くらいしろよ」
自分でも驚くほどの低い声が出て
ついでに信じられないほど冷たい言葉も放ってた
男の俺の力で押し倒されてAが抵抗なんて出来るはずないのに
「男をむやみに家に上げるとか、どういう神経してんの?」
「能天気すぎて見てて腹たつんだよ」
Aがそんな子だなんてこれっぽっちも思ってないけど、口をついて出てくる言葉が止まらない
Aはさっきの怯えた表情をさらに強張らせて
「ごめんな…さいっ……」
泣きながら声を振り絞るようにそう言った
違う、悪いのはお前じゃない
絶対に違うのに否定すらできなかった
もう戻れないと思った
黙って立ち上がって振り返らずに部屋を出る
もういっそこれで嫌いになってくれればいい
身勝手だけど、自業自得
全部終わりだ
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作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時