君のいる世界 another story ～1～ (ページ49)

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下心抜きにしても

今日のAをこのまま帰すとか絶対無理だ

だからずぶ濡れのまま帰んなとかぶつぶつずっと言ってたら

Aも折れて家に上げることになった

ここに引っ越してから割と経つけど

俺のテリトリーのこの部屋に入れた人間って本当に数えるくらいしかいない

から、俺自身来客とか久しぶりだしましてや好きな女の子だし

めっちゃ誘ったくせに挙動不審になっちゃう

「ちなみにこの部屋に女の子あがんの、初めてよ？」

照れ臭くてそんなこと言ってみたら

「へぇ～～わりとどうでもいい」

なんて軽く交わされた

エレベーターに乗ると密室っていうのもあって

さっき感じた緊張が増していく

そんな中でAの方からすごい視線を感じるから振り返ると

「まつげのカールすごいなって思った」

とか言ってくっからもうマジでどうしたらいいかわかんなくなる

「入ったら足洗って」

って他の友達にも言ってるように同じこと言ったら

なんか含み笑いしてるし

「てか、雨濡れたしそのまんまシャワー浴びてくれば？」

って続けざまに言ったらちょっとギョッとされて

さすがに今のはデリカシーなさすぎ？

でもスウェット貸すことに落ち着いた

つうか、もうこれ止まりの流れじゃん？？

そう思うともう溢れ出す下心が止まらない

オトコの”性”てきな？

「いかん、いかん！」

そうちょっとでか目に言い聞かせて

アディダスの上下をクローゼットから出してAに渡した

今日はあくまで"聞き取り”だ

今まで何があったのか洗いざらい話さしてやる！

そうひとりリビングで意気込んでると

洗面所から「デンガラガッシャーン」的な音が聞こえてくるから

なんかあったのかって飛んでく

ドア開けるの一瞬迷ったけど

「開けるよ～？」ってひとことだけ断わって開けたら

俺のスウェットの上だけ着てそこにうずくまってるA

みちゃいかんって思ったけど膝上の青い大きいアザに目が行ってしまう

脛辺りにも一つ見つけた

まだできてそんなに日も経ってないようなアザだった